特例子会社認定申請に向けた必要な手続き、認定を受けるためにやるべきこととは?

特例子会社認定までのやるべき事が整理できる!
特例子会社設立プランニングシート

特例子会社設立までのステップや
自社の障害者雇用の課題整理にお役立てください
この記事では、特例子会社の設立から認定までの流れ(フロー)や検討項目について紹介します。同時に求人・採用業務も行うこととなりますので、複数の課題を同時並行で進めていき、期間内に特例子会社の認定を受けるための留意点、特例子会社設立を成功させるために押さえるべきポイントもご紹介しています。

特例子会社認定に向けたフローは3段階のフェイズで考える 同時に求人や採用の準備も進める場合が多い

特例子会社を設立する場合は、社内に特例子会社設立に向けたプロジェクトチーム(特例子会社設立準備室などの名称が多い)を設置し、プロジェクトチームが中心となって様々な検討を進めていくことが一般的です。
会社設立、採用、認定申請など特例子会社の設立・認定に向けた大まかなフローはフローは次の通りです。
特例子会社の認定を受けるためには、子会社を設立し、特例子会社の要件を整え、必要書類を整えてハローワークへ申請していくわけですが、多くの企業の場合、特例子会社の設立が障害者雇用の促進が目的ですので、基本的には設立された子会社において、新たに障害者社員の採用を進めていくことが一般的です。

認定に向けたフローは、大きく「情報収集段階」、「事業計画の立案・検討段階」「法人設立・申請書類作成段階」の3つで構成されます。

それぞれのフェイズは独立しているのではなく、重なりあっています。
また、同時に子会社での求人・採用業務も実施していくことなります。
スタート段階で、ロードマップを作成し、着実に進めていくことが、期間内に特例子会社の申請と認定を受けることにつながります。

認定に向けたフロー第1段階・情報収集フェイズでやるべきこと

特例子会社制度についての詳細、特例子会社で行う事業の内容、雇用する障害者の障害種別や程度、運営体制、活用できる障害者雇用支援制度など、特例子会社を新たに設立するための様々な情報を収集する段階です。
インターネットでの情報収集はもちろんですが、ハローワークなどから情報提供を求めると様々な形で情報提供してもらうことができますので、ぜひ活用していきましょう。

この段階で、もっとも大切なことは、「どのような特例子会社を設立・運営していきたいのか」といったことについての情報収集することです。他社の特例子会社を見学するなどして、具体的なイメージを持つことは大変有効です。

また、既存の特例子会社や障害者雇用に取り組んでいる企業を見学するなどして、自社で設立する特例子会社の運営イメージ、目指していくビジョンを固めることも大切です。
事業内容、マネジメント体制なども特例子会社によってそれぞれ異なりますので、できれば複数の特例子会社を見学するなどして、自社のイメージと合致する特例子会社のスタイルを見つけていくことが求められます。

認定に向けたフロー第2段階・特例子会社の事業計画の立案・検討フェイズでやるべきこと

設立する特例子会社のイメージが固まったら、まずは、事業計画にまとめていくことが求められます。

事業計画に盛り込むべき主な項目は以下のとおりです。
  ・自社またはグループ内企業の障害者雇用の状況と課題
  ・特例子会社設立の必要性
  ・経営理念
  ・社名
  ・所在地
  ・資本金
  ・事業内容
  ・グループ適用をする企業
  ・採用計画
  ・投資計画
  ・収支計画、概算収支
  ・役員、出向者
  ・組織体制
  ・労働条件
  ・設立までのスケジュール

事業計画の作成に関しては、特例子会社プランニングシートをご活用いただけます。
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この段階では、決定できない項目も数多く存在していますが、事業計画にアウトプットすることで
特例子会社の設立・認可に向けた検討課題が明確化できます。
事業計画の作成にあたっては、主に社内の検討課題が多く存在しています。こちらについては過不足なく検討・決定していくことが求められます。

いずれにしても事業計画は早い段階から作成し、何度も加筆・修正していくことが効率的・効果的に特例子会社の認定取得には有効です。

特例子会社の認定要件とは?と思ったらこちらをご確認ください
特例子会社とは? 認定要件は? 特例子会社は何社ある?雇用されている障害者は?

認定に向けたフロー第3段階・法人設立・申請書類準備フェイズでやること

事業計画の検討段階の中盤くらいの時期から、法人設立や各種申請の業務もスタートします。また新会社の管理責任者や業務責任者なども決めていく必要があります。

●法人設立に関する手続き、申請関係
(1)取締役会での決定
株式会社において、子会社の設立は、取締役会での承認が必要です。
そのため、事業計画の立案・検討フェイズで作成した事業計画書などをもとに特例子会社の設立を取締役会に上申し、正式承認を受けることが子会社設立の第一歩となります。

(2)法人登記の準備、法務局への届出
登記をするため、定款を作成します。
定款に必要な項目は、「商号」、「目的」、「本店の位置」、「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」、「登記人の氏名又は名称及び住所」です。

定款ができたら交渉人の認証をもらって法務局へ登記申請書を提出します。
ちなみに、申請届出をした日が会社設立日となります。

(3)子会社事業開始に関する各種届出
申請自体には関係ありませんが、子会社が事業を開始するためには各種手続きが必要です。
①税務関係
   以下の書類を税務署に届け出る必要があります。
    ・法人設立届出書
    ・青色申告の承認申請書
    ・給与支払 事務所等の開設届出書
    ・源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書
    ・棚卸資産の評価方法の届出書
    ・減価償却資産の償却方法の届出書
   また、地方税関連の手続きを、都道府県及び市町村に対して行います。
 ②社会保険関係
   ・健康保険と厚生年金の加入手続きは、会社所在地を所轄する年金事務所に届け出ます。
   ・労災保険は、従業員を雇った場合に加入します。
    会社がある地域を管轄する労働基準監督署に提出します。
   ・雇用保険適用事業所設置届は、子会社の所在する地域の管轄ハローワーク
    (公共職業安定書)に提出します。

●就業規則、賃金規程の作成
   親会社の就業規則を参考にしながら、特例子会社独自の就業規則、賃金規程を作成します。
   障害者社員の働きやすさに配慮して、労働時間、休暇や休日などについての検討していくことが必要です。
   ・雇用形態
   ・賃金の支払い方
   ・休日や休暇 などについても、雇用する障害者の状況や実態に合わせて設定していきます。
                                        
●管理責任者、現場責任者の人選
特例子会社の経営というと、障害者についての経験や専門知識をもっていることが必要と考えがちですが、経営と運営をしっかり分けることが大事です。
経営は組織や制度をしっかり考えられ、親会社、グループ会社の経営層ともやりとりできる人をアサインしたほうがよいでしょう。
管理責任者(マネジメント)、と現場責任者(障害者社員の雇用管理)の人選次第で、特例子会社の経営の安定や成長を左右すると言っても過言ではありません。
・特例子会社の役割をふまえ、仕組みや制度を組み立てること
・特例子会社の貢献を親会社・グループ会社に理解、浸透させること
・特例子会社で行う業務を親会社・グループ会社から集めてくること(業務開発)

・障害者の採用、教育・指導
・障害者のマネジメント
・特例子会社で行う業務の品質の担保

○提案力
○企画力
○実行力

○採用する障害者社員、障害者雇用管理に関する一定の知識(障害者雇用の経験があることは望ましいが条件ではない)
○自社内の業務を知っている
○各部署と調整ができる

子会社での障害者社員を採用する

特例子会社の認定を受けるにはその会社に5人以上の障害者が雇用されている必要があります。

子会社で新たに障害者を雇い入れること自体は特例子会社の認定要件ではありませんが、障害者の雇用促進を目的として設立されることが多い特例子会社ですので、多くの特例子会社が、子設立の段階で障害者採用を同時並行で進めています。

子会社で新たに障害者社員を採用していくためには、次のような手順で行います。

(1)業務を確定する
   ・特例子会社の業務として検討できる業務の候補の中から業務を決める
   ・業務量
   ・リスク
   ・課題
   ※親会社の業務を点検し、特例子会社で担える業務を切り出すことが一般的です。

(2)採用する障害者の明確化
   ・(1)で選定した業務を担える障害者の人材要件
     (障害種別、障害程度、保有スキル等)
   ・雇用形式、処遇の検討
   ・採用する人数と労働市場との適合性
  ※子会社として作成する就業規則、賃金規程との関係も視野に入れていく必要があります。

(3)採用活動
   ・就労支援機関、特別支援学校との関係構築
   ・職場見学会
   ・雇用前実習
   ・求人
   ・面接
   ・内定
   ※子会社として業務が開始されていない状況下での実習を行うことが困難な場合もあります。

特例子会社申請書の作成と認定申請

親会社の所在地を管轄するハローワークに特例子会社認定申請を行います。

●下記の書類が必要となります。

・子会社特例認定申請書・・・公共職業安定所長に提出する書類
・親事業主及び子会社の概要・・・親会社と特例子会社の概要等を記載、親会社の直近の有価証券報告書 (写)または附属明細書(写) 親会社が子会社の意思決定機関を支配してい ることを示す書類
・子会社の株主名簿または出資口 数名簿 同上(株主名、額面株主数、その他) 親会社の「障害者雇用状況報告 書」 直近の6月1日現在のもの
・申請日現在における親会社(当 該子会社を含む)の「障害者雇用状況報告書」
・定款
・法人登記簿謄本
・親会社から派遣されている子会 社の役員名簿 氏名、年齢、所属、役職、入社年月日(親会 社からの主な略歴)
・子会社の社員名簿 氏名、年齢、所属、役職、入社年月日
・子会社の障害者雇入れ通知書 (写) 個人ごとに雇い入れ条件のわかるもの
・子会社の就業規則・給与規程等
・障害者の職業生活に関する指導員の配置状況
・障害者職業生活相談員の選任届等
・子会社の図面、案内図
・子会社の勤務中(または実習中)の写真 職場の仕事内容が確認できるもの
その他
・子会社が行う事業において障害者雇用促進及び安定に関する資料

上記などを踏まえて、特例子会社の認定に必要な要件が整うと特例子会社の認定申請が可能となります。
申請先は、親会社の管轄のハローワークとなります。ハローワークによる書類審査、実地調査を経て、認定されます。
親会社である株式会社朝日エンジニアリング様は、環境プラントの運転や維持管理、環境計量分析、研究開発補助といった専門技術を持った人材を官公庁や大手企業へ派遣する事業を展開する企業です。
障害のある社員を派遣することは困難ですので、受け入れは必然的に本社になります。もちろん本社でも積極的に受け入れていましたが、適した業務を切り出していくことには限界もあります。 
どんどん従業員が増えていく中で、法定雇用率の達成が非常に厳しい状況が続いていました。 

FVPをお選びいただいたのは、申請の手順や留意点を熟知しておられることが理由でした。単なる法定雇用率対策としてではなく、事業としての継続性や発展性を考えたサポートをご評価いただいています。

株式会社朝日エンジニアリング様のインタビューについて、詳細はこちらをご覧ください。

まとめ

特例子会社を設立する場合は、社内に特例子会社設立に向けたプロジェクトチーム(特例子会社設立準備室などの名称が多い)を設置し、プロジェクトチームが中心となって様々な検討を進めていくことが一般的です。

認定に向けたフローは、大きく「情報収集段階」、「事業計画の立案・検討段階」「法人設立・申請書類作成段階」の3つで構成されます。

それぞれのフェイズは独立しているのではなく、重なりあっています。
新たに子会社での求人・採用業務を実施する場合、同時並行で実施していくことになります。

会社設立や税務や社会保険などの手続きは一般の法人と変わりません。
特例子会社の認定要件をいかに満たすかということはもちろんですが、
事業計画の立案・検討において十分な議論や検討をしておくことが最も重要なことです。

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組織体制、損益計画、投資計画、採用計画など、特例子会社設立にあたり押さえておくべき項目が網羅されています。フォーマットに記入していただくことで、特例子会社の設立に向けたプランニングが可能です。

特例子会社の設立についてお気軽にご相談ください

特例子会社の設立はゴールではなくスタート地点にすぎません。
目指すべきことは、設立後の着実な運営と成長であり、障害者の定着と活躍です。
グループ企業の1社として自律的・自立的な経営を行えるようになることです。

そして、あえて特例子会社を設立しないことも、重要な判断だと私たちは考えています。

私たちFVPは、特例子会社の設立と運営に関しての豊富な実績とノウハウを有しています。

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