障害者雇用分科会における制度検討、始まる。
※この文章は、2026年5月9日に、関係者・知人にメールで発信したものです。皆さん、こんにちは。
SACEC(障害者雇用企業支援協会)顧問の土屋です。
まだ5月上旬なのにもう夏日・真夏日で、先が思いやられますが、
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
今後の障害者雇用促進制度のあり方について、労働政策審議会における検討が始まりました。
この検討は、同審議会の障害者雇用分科会において行われるもので、
4月20日にキックオフの会合が開催されています。
この日の分科会では、本年2月にまとめられた研究会報告(*)の説明があったうえで、
さっそく関係団体からのヒアリングが行われました。
(*)「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会報告書」(2026年2月6日)
意見を述べたのは、いずれも障害者雇用を進める企業の集まりである、下記の2団体です。
・一般社団法人障害者雇用企業支援協会(SACEC)
・公益社団法人全国障害者雇用事業所協会(全障協)
両団体から提出された資料が公表されていますので、団体名のリンクからご参照ください。
いずれの資料にも、雇用の現場の実態に即した建設的な意見が盛り込まれています。
私が資料を一読して最も注目した点は、
いわゆる障害者雇用ビジネスに関する両団体の意見です。
まず、障害者雇用ビジネスに対する評価として、それぞれ次のとおり記載されています。
「雇用率の達成だけを目指した”障害者雇用ビジネス”の利用が拡大していけば、
我が国における障害者雇用は本来の理念や目的から遊離したものとなり
形骸化してしまうことが危惧される。」
(SACEC・8ページ)
「いわゆる障害者雇用ビジネスについては、単に雇用率達成のみを目的とした利用となったり、
経済社会を構成する労働者の一員として能力を発揮する機会が障害者に与えられなかったりするなどにより
雇用の質向上促進を阻害するものとなることを非常に危惧している。」
(全障協・2ページ)
いずれも、障害者雇用を積極的に進めている立場から、
きわめて厳しい評価と現状に対する危機感が表明されていると思います。
そのうえで、研究会が提言した、障害者雇用ビジネスに関するガイドラインの策定に関しては、
行政が監査や指導を行うしくみを構築することが、提言されています。
「事業者並びに利用企業に対して、監査や行政指導の仕組みを併せて講じることにより
ガイドラインが有効に機能するのではないか?」
(SACEC・10ページ)
「(ガイドラインの)施行に当たっては、事業者に定期的な情報開示を求めることに加え、
開示された情報について行政が実地に点検できる仕組みを設けるべきと考える。」
(全障協・2ページ)
さらに、企業の利用実態の把握についても、踏み込んだ提言がなされています。
研究会報告では、障害者雇用ビジネスの利用に関して、各企業が行政に対し、一定の項目(*)の報告を定期的に行うこと(**)が提言されています。
(*)就業場所、ビジネス事業者の情報、障害者が従事する業務内容、
利用予定期間等の適正な雇用管理に係る情報
(**)毎年6月1日現在の状況を報告する「障害者雇用状況報告」(ロクイチ報告)において行う。
これに対し、両団体は、その対象となっている人数も報告事項とすべきとしています。
「現在、特例子会社での雇用人数を区分して報告しているのと同様に、
『障害者雇用ビジネス』を利用して雇用している人数を区分して報告すること。」
(SACEC・9ページ)
「より具体的な実態を把握するため、報告項目に対象となっている障害者数も加えるべきと考える。」
(全障協・2ページ)
障害者雇用ビジネスをめぐる現下の諸課題に的確に対応することは、
障害者がその特性や能力を活かして働き、社会の一員として活躍できる社会の実現に欠かせないものであり、
その実態を詳細に把握したうえで、対応策を進めていくことが重要であると考えます。
障害者雇用分科会は、今後、月1回程度の開催が予定されています。
次回は5月27日に開催され、引き続き、関係団体からのヒアリングが行われ、
一般社団法人障害者雇用促進事業者協会(促進協)など、3つの団体が意見を述べる予定です。
促進協は、障害者雇用ビジネスを展開する事業者で構成される団体と目されており、
今般の上記2団体の意見を踏まえつつ、どのような議論がなされるのか、
注目したいと思います。
SACEC(障害者雇用企業支援協会)顧問の土屋です。
まだ5月上旬なのにもう夏日・真夏日で、先が思いやられますが、
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
今後の障害者雇用促進制度のあり方について、労働政策審議会における検討が始まりました。
この検討は、同審議会の障害者雇用分科会において行われるもので、
4月20日にキックオフの会合が開催されています。
この日の分科会では、本年2月にまとめられた研究会報告(*)の説明があったうえで、
さっそく関係団体からのヒアリングが行われました。
(*)「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会報告書」(2026年2月6日)
意見を述べたのは、いずれも障害者雇用を進める企業の集まりである、下記の2団体です。
・一般社団法人障害者雇用企業支援協会(SACEC)
・公益社団法人全国障害者雇用事業所協会(全障協)
両団体から提出された資料が公表されていますので、団体名のリンクからご参照ください。
いずれの資料にも、雇用の現場の実態に即した建設的な意見が盛り込まれています。
私が資料を一読して最も注目した点は、
いわゆる障害者雇用ビジネスに関する両団体の意見です。
まず、障害者雇用ビジネスに対する評価として、それぞれ次のとおり記載されています。
「雇用率の達成だけを目指した”障害者雇用ビジネス”の利用が拡大していけば、
我が国における障害者雇用は本来の理念や目的から遊離したものとなり
形骸化してしまうことが危惧される。」
(SACEC・8ページ)
「いわゆる障害者雇用ビジネスについては、単に雇用率達成のみを目的とした利用となったり、
経済社会を構成する労働者の一員として能力を発揮する機会が障害者に与えられなかったりするなどにより
雇用の質向上促進を阻害するものとなることを非常に危惧している。」
(全障協・2ページ)
いずれも、障害者雇用を積極的に進めている立場から、
きわめて厳しい評価と現状に対する危機感が表明されていると思います。
そのうえで、研究会が提言した、障害者雇用ビジネスに関するガイドラインの策定に関しては、
行政が監査や指導を行うしくみを構築することが、提言されています。
「事業者並びに利用企業に対して、監査や行政指導の仕組みを併せて講じることにより
ガイドラインが有効に機能するのではないか?」
(SACEC・10ページ)
「(ガイドラインの)施行に当たっては、事業者に定期的な情報開示を求めることに加え、
開示された情報について行政が実地に点検できる仕組みを設けるべきと考える。」
(全障協・2ページ)
さらに、企業の利用実態の把握についても、踏み込んだ提言がなされています。
研究会報告では、障害者雇用ビジネスの利用に関して、各企業が行政に対し、一定の項目(*)の報告を定期的に行うこと(**)が提言されています。
(*)就業場所、ビジネス事業者の情報、障害者が従事する業務内容、
利用予定期間等の適正な雇用管理に係る情報
(**)毎年6月1日現在の状況を報告する「障害者雇用状況報告」(ロクイチ報告)において行う。
これに対し、両団体は、その対象となっている人数も報告事項とすべきとしています。
「現在、特例子会社での雇用人数を区分して報告しているのと同様に、
『障害者雇用ビジネス』を利用して雇用している人数を区分して報告すること。」
(SACEC・9ページ)
「より具体的な実態を把握するため、報告項目に対象となっている障害者数も加えるべきと考える。」
(全障協・2ページ)
障害者雇用ビジネスをめぐる現下の諸課題に的確に対応することは、
障害者がその特性や能力を活かして働き、社会の一員として活躍できる社会の実現に欠かせないものであり、
その実態を詳細に把握したうえで、対応策を進めていくことが重要であると考えます。
障害者雇用分科会は、今後、月1回程度の開催が予定されています。
次回は5月27日に開催され、引き続き、関係団体からのヒアリングが行われ、
一般社団法人障害者雇用促進事業者協会(促進協)など、3つの団体が意見を述べる予定です。
促進協は、障害者雇用ビジネスを展開する事業者で構成される団体と目されており、
今般の上記2団体の意見を踏まえつつ、どのような議論がなされるのか、
注目したいと思います。

土屋喜久(つちや・よしひさ)
株式会社FVP 障害者雇用アドバイザー
一般社団法人障害者雇用企業支援協会(SACEC) 顧問
学校法人ものつくり大学 理事長
1962年生まれ、群馬県出身。
厚生労働省において、障害者雇用対策課長、職業安定局長、厚生労働審議官を務め、障害者の雇用促進に深く関わった。
同省を退職後、2022年5月、SACECの顧問に就任。
2023年10月、FVP・執行役員に就任。
2025年4月、同社の障害者雇用アドバイザーとなる。
これからも障害者雇用へのかかわりを深めていきたいと考えている。
株式会社FVP 障害者雇用アドバイザー
一般社団法人障害者雇用企業支援協会(SACEC) 顧問
学校法人ものつくり大学 理事長
1962年生まれ、群馬県出身。
厚生労働省において、障害者雇用対策課長、職業安定局長、厚生労働審議官を務め、障害者の雇用促進に深く関わった。
同省を退職後、2022年5月、SACECの顧問に就任。
2023年10月、FVP・執行役員に就任。
2025年4月、同社の障害者雇用アドバイザーとなる。
これからも障害者雇用へのかかわりを深めていきたいと考えている。
