東京海上ビジネスサポート株式会社
皆さん、こんにちは。
今回の訪問は、東京海上ビジネスサポート株式会社です。
SACEC(一般社団法人障害者雇用企業支援協会)の理事でもいらっしゃる小室知彦社長には、6月の総会の際にお目にかかっていましたので、さっそく見学をお願いし、7月25日、東京海上日動の若手社員3名と一緒に、丸の内にあるオフィスを訪問しました。
東京海上ビジネスサポート(TMBS)は、2010年に設立され、損害保険業界では初めての特例子会社とのことでした。業界としての取組が意外に遅かったんだなと、これは私の率直な感想。
設立の翌年には、グループ内の物流やノベルティなどを扱う2社と合併しています。特例子会社としての要件を維持しつつ、経営基盤の安定・強化を図った取組として、興味深く感じました。
「支援される立場から支援する組織へ」
「夢と誇りを持てる会社へ」
「活躍できる機会の拡大へ」
の3つを掲げています。1つ目の理念は、就労支援の世界でよく語られる「タックスペイヤーを目指す」と相通ずるところがあり、企業や働く障害者の実感により即していると感じました。
TMBSでは、障害のある社員を「チャレンジサポーター」と呼び、内部組織には、収益部門とチャレンジサポーター(CS)部門、その中間にあたる包括部門があります。このような組織構成は、経営基盤の強化を図った3社合併の経緯から来たものだと思います。
CS部門には業務支援部があり、今回の見学では、部内の各チームのチャレンジサポーターの皆さんから、仕事の具体的な内容の説明を受け、実演していただきました。
印象的だったのは、書類をPDF化する作業や手書きしたアンケートの回答を入力する作業だけではなく、ドライブレコーダーを解析してヒヤリハットの場面を拾い出す作業など、第一線の営業に直結してこれをサポートする業務も担っており、グループ全体の事業展開の重要な一角を占めていることでした。これは部の名前や「サポーター」の意味でもあり、まさに経営理念にある「支援する組織へ」だと感じました。
ただ、DXやスマホの普及などの影響は大きく、上記の入力作業など今後減少していく作業に代わる職域の確保・拡大は、雇用を着実に拡大していく中で大きな課題になっているとのことです。
業務支援部には、チャレンジサポーター5人につき1人の支援員(ジョブサポーター)が配置されていて、その存在感の大きさを感じました。
ジョブサポーターの業務遂行面での主要な役割は、作業内容を細かく分析・整理して割り振り、進行を管理すること。必要とされるスペックは事務の経験であり、この分野に思いも持ちながら、事務の経験豊かな人が入社してくるとのことです。その際、SACECの「初任者講座」が役立っているとのお話がありました。
そして、ジョブサポーターの皆さんが日頃からきめ細やかなコミュニケーションを心がけていることが窺われ、これがチャレンジサポーターの高いモチベーションやチャレンジする姿勢を引き出していると感じました。
グループ内から様々な業務を受注しているTMBSですが、価格競争の面ではグループ外の他社と比べてどうしても劣位になりがちとのこと。そこで、親会社である東京海上ホールディングス株式会社から一定の支援を得て、競争条件を整えているそうです。一方で、障害者雇用率のグループ適用の対象としていないグループ会社からも、全体の2割程度の受注があり、積極的な営業姿勢が窺われます。
また、TMBSには、グループ内の他社にはない会長職が置かれ、東京海上HDの永野毅会長が就任しているとのこと。障害者雇用の推進にはトップの関与が重要であり、それがきちんと形になっていると感じました。
対応していただいた小室さん、取締役の伊原裕さん、人材活躍推進部長の金岡秀樹さんは、いずれもここ数年のグループ内の異動で、初めて障害者雇用に関わることになったそうです。しかし、皆さん、思いは熱く、意見交換ではたいへん活発なやり取りができました。
この「熱感」がグループ全体の社員に広く伝わって共感が得られるか、これからも大きなテーマだと思います。
これまで会社見学会を随時開催し、たくさんのグループ社員の参加があったそうです。今回一緒に見学した3名の社員も、何かを感じ取ってくれたのではないかな、そんなことを思いつつ、私も微力を尽くしたいと思いました。
何よりもチャレンジサポーターのみなさんが、自分自身の成長を感じながら、生き生きと働いている姿が大変印象的でした。
チャレンジサポーター一人一人のやる気を後押しする制度として、お互いを褒めたたえあう文化を醸成する「グッドジョブ賞」や、人前で発表することでシナリオ構築力、自己理解力、自己開示力を磨く「体験談・一分間スピーチ」、目標管理・業務遂行に主眼を置いた「ジョブサポーターとの面談」等、チャレンジサポーターが活き活きと、主体的に働き続けることが出来る様々な制度が整っていると感じました。
東京海上グループにおいては、「ダイバーシティ&インクルージョン」(D&I)を推進していますが、TMBSはまさにこの「D&I」が実践されている場であり、見学会等を通じて、当グループ内のより多くの社員がこの現場を「体感」することが、「D&I」の一層の推進に繋がっていくのではないかと感じています。
*掲載した資料や写真は、各社からご提供いただいたものです。
*文中の「ショウガイ」の標記については、引用部分などを除き、法令と同様の「障害」としています。
今回の訪問は、東京海上ビジネスサポート株式会社です。
SACEC(一般社団法人障害者雇用企業支援協会)の理事でもいらっしゃる小室知彦社長には、6月の総会の際にお目にかかっていましたので、さっそく見学をお願いし、7月25日、東京海上日動の若手社員3名と一緒に、丸の内にあるオフィスを訪問しました。
「支援される立場から支援する組織へ」
設立の翌年には、グループ内の物流やノベルティなどを扱う2社と合併しています。特例子会社としての要件を維持しつつ、経営基盤の安定・強化を図った取組として、興味深く感じました。
TMBSは、経営理念として
「支援される立場から支援する組織へ」
「夢と誇りを持てる会社へ」
「活躍できる機会の拡大へ」
の3つを掲げています。1つ目の理念は、就労支援の世界でよく語られる「タックスペイヤーを目指す」と相通ずるところがあり、企業や働く障害者の実感により即していると感じました。
営業の現場に直結した業務を担う
CS部門には業務支援部があり、今回の見学では、部内の各チームのチャレンジサポーターの皆さんから、仕事の具体的な内容の説明を受け、実演していただきました。
印象的だったのは、書類をPDF化する作業や手書きしたアンケートの回答を入力する作業だけではなく、ドライブレコーダーを解析してヒヤリハットの場面を拾い出す作業など、第一線の営業に直結してこれをサポートする業務も担っており、グループ全体の事業展開の重要な一角を占めていることでした。これは部の名前や「サポーター」の意味でもあり、まさに経営理念にある「支援する組織へ」だと感じました。
ただ、DXやスマホの普及などの影響は大きく、上記の入力作業など今後減少していく作業に代わる職域の確保・拡大は、雇用を着実に拡大していく中で大きな課題になっているとのことです。
ジョブサポーターの大きな存在感
ジョブサポーターの業務遂行面での主要な役割は、作業内容を細かく分析・整理して割り振り、進行を管理すること。必要とされるスペックは事務の経験であり、この分野に思いも持ちながら、事務の経験豊かな人が入社してくるとのことです。その際、SACECの「初任者講座」が役立っているとのお話がありました。
そして、ジョブサポーターの皆さんが日頃からきめ細やかなコミュニケーションを心がけていることが窺われ、これがチャレンジサポーターの高いモチベーションやチャレンジする姿勢を引き出していると感じました。
経営はグループ全体で支えつつ、トップの関与を明確に
また、TMBSには、グループ内の他社にはない会長職が置かれ、東京海上HDの永野毅会長が就任しているとのこと。障害者雇用の推進にはトップの関与が重要であり、それがきちんと形になっていると感じました。
グループ社員の理解と共感をさらに
この「熱感」がグループ全体の社員に広く伝わって共感が得られるか、これからも大きなテーマだと思います。
これまで会社見学会を随時開催し、たくさんのグループ社員の参加があったそうです。今回一緒に見学した3名の社員も、何かを感じ取ってくれたのではないかな、そんなことを思いつつ、私も微力を尽くしたいと思いました。
~同行した東京海上日動社員の南恵理さんから、一言~
チャレンジサポーター一人一人のやる気を後押しする制度として、お互いを褒めたたえあう文化を醸成する「グッドジョブ賞」や、人前で発表することでシナリオ構築力、自己理解力、自己開示力を磨く「体験談・一分間スピーチ」、目標管理・業務遂行に主眼を置いた「ジョブサポーターとの面談」等、チャレンジサポーターが活き活きと、主体的に働き続けることが出来る様々な制度が整っていると感じました。
東京海上グループにおいては、「ダイバーシティ&インクルージョン」(D&I)を推進していますが、TMBSはまさにこの「D&I」が実践されている場であり、見学会等を通じて、当グループ内のより多くの社員がこの現場を「体感」することが、「D&I」の一層の推進に繋がっていくのではないかと感じています。
《自社PR》
東京海上グループは、「障がい者への就業機会を広く提供し、多様な人材がいきいきと働いている企業グループへ」というビジョンを掲げ、その実現に向けて東京海上ビジネスサポートを設立しました。経営理念(①支援される立場から支援する組織へ、②夢と誇りを持てる会社へ、③活躍できる機会の拡大へ)のもと、やりがいを持っていきいきと働ける環境づくりに力を入れ、仕事を通して一人ひとりが成長できる会社を目指しています。
《会社概要》
社名 | 東京海上ビジネスサポート株式会社 |
主な業種 | 書類の作成・発送、データ入力、販促品の販売、印刷、社内物流等 |
従業員数 | 374名 |
うち障害者社員の人数 | 231名 |
障害の内訳 | 身体:3名、知的:99名、精神:129人 |
URL | |
親会社の社名 | 東京海上ホールディングス株式会社 |
主な業種 | 損害保険 |
親会社のHPに障害者雇用に関する記述がある場合には、その箇所のURL | https://www.tokiomarinehd.com/sustainability/management/diversity.html |
*文中の「ショウガイ」の標記については、引用部分などを除き、法令と同様の「障害」としています。
土屋喜久(つちや・よしひさ)
株式会社FVP 執行役員
一般社団法人障害者雇用企業支援協会(SACEC) 顧問
学校法人ものつくり大学 顧問
1962年生まれ、群馬県出身。
厚生労働省において、障害者雇用対策課長、職業安定局長、厚生労働審議官を務め、障害者の雇用促進に深く関わった。
同省を退職後、2022年5月、SACECの顧問に就任。
本年10月、FVP・執行役員となる。
これからも障害者雇用へのかかわりを深めていきたいと考えている。