「発達障害」の特徴とは?

1.発達障害は生まれつきの脳の働き方に起因する障害

栗本:
最近、「発達障害」という言葉をよく聞くんですが、どういう障害なんでしょうか?

福田課長:
発達障害とは、生まれつきみられる脳の働き方の発達の偏りによって、子供のうちから行動や情緒に特徴が現れる状態だよ。このため、発達障害のある子供は、日常生活でさまざまな困りごとが生まれ、親も育児の悩みを抱えることがあるんだ。

栗本:
そうなんですね。発達障害は生まれつきなのですね。

福田課長:
障害者基本法では、発達障害は精神障害に含むとされている。だからといって勘違いしてはいけないのは、発達障害はいわゆる「心の病」、精神疾患ではないということなんだ。先天的な脳の機能によって、「情報の混乱」を起こす障害と言い変えてもいい。ここは押さえておいてほしいな。

栗本:
「情報の混乱」ですか。これはキーワードとして覚えておいた方がいいですね。

福田課長:
うん、そうだ。でも、その発達障害があることで、失敗体験が多かったり、周囲からの理解が得られなかったり、「うつ」や「強迫性障害」といった精神症状、精神疾患を抱えている人もいる。これは、発達障害そのものの特性ではないということから、二次障害と言われるんだ。

栗本:
発達障害は病気ではないということは、治らないということですよね。それは大変ですね。

福田課長:
「治るか」ということについては、答えはNOだ。でも日常生活や学校・職場では、発達障害の人の特性に対応した工夫をすることで、困難を軽減させ、その人の能力を活かしていくことはできる。

栗本:
発達障害の人が取得する障害者手帳はどの種類になるのですか?

福田課長:
発達障害者の場合、知的は発達の遅れがある場合は、子供の時(18歳未満)に知的障害の人に交付される「療育手帳」で、知的発達に遅れがない場合などは「精神障害者保健福祉手帳」を取得するよ。

2.発達障害の診断名は3つ

栗本:
わかりました!もう少し発達障害について具体的に教えてください。

福田課長:
自閉スペクトラム症(ASD)
注意欠如・多動性障害(ADHD)
学習障害(LD)

この3つを総称して発達障害というんだ。

栗本:
具体的には、どんな特性や症状があるんですか?

福田課長:
まず、大まかなイメージを持ってもらうために、次の図を見てほしい。
栗本:
この図を基に、まず、自閉スペクトラム症について教えてください。

福田課長:
自閉スペクトラム症は、社会性、想像力、こだわりといったことが主な特性だよ。表情や身振りなどから相手の意図や気持ちを読み取ったり、自分の考えを伝えたりすることが苦手だったり、特定のことに強い興味や関心を持つなど、こだわり行動があるといったことが特徴なんだ。


栗本:
そうなんですね。私も昔から相当こだわりが強いと言われてるんですけど、それって私も自閉スペクトラム症っていうことですか?
気持ちを読み取ったり、自分の考えを伝えたりすることが不得意な人ってそれって、私にもありますけど、

栗本:
では次に、注意欠如・多動性障害とは、どんな障害なのでしょうか?

福田課長:
「注意欠如・多動性障害(ADHD Attention-Deficit Hyperactivity Disorder)」は、名前の通り、落ち着きがない、待てないといった多動性や衝動性、そして、注意を維持しにくいという特性がある。幼児期には、落ち着きがない、しゃべりすぎる、他人の会話やゲームに割り込むなどの症状が見られる。大人になると、症状の表れ方は変わるのだけど、一般的には落ち着きのなさや多動性減少することが多いと言われているね。

栗本:
学習障害とはどのような障害でしょうか?

福田課長:
「学習障害(LD Learning Disability)」は、全般的な知的発達に問題がないのに、読む、書く、計算するといった特定の学習に困難がある状態を指すんだ。例えば、文字や文章を読むのが遅い、数学的な概念を理解するのが難しいといった特性がある。

栗本:
それぞれ、特性が違うのですね。

福田課長:
実は一人の人が複数の障害特性を併せ持っていることも珍しくない。だから、診断名だけで、その人の特性を判断すること間違のもとだね。

栗本:
まずは一人ひとりの特性をよく理解していくことが大事なんですね。

福田課長:
そのとおり。もうひとつ大事なことを伝えよう。
感覚や運動面でも特性を持つ発達障害の人は少なくない。視覚、聴覚、触覚、嗅覚といった感覚に過剰な敏感さや過剰な鈍感さがみられたりすることがある。また手先が著しく不器用だったりすることもあるので、そういった症状がみられた配慮する必要があるね。

栗本:
聴覚過敏の人には、静かな環境で仕事をしてもらうとか、耳栓を許可するとかなどですか?

福田課長:
そう!いいと思うよ。

3.発達障害の特性を踏まえた環境とサポート

栗本:
そうなんですね。そういった経緯も踏まえながら、どんな風に職場でサポートをしていけばよいですか?

福田課長:
発達障害の特性や症状の現れ方は一人ひとり異なるので、何が得意で何が不得意なのかなどといった具体的な特性を理解することがまずは最初の仕事だね。

業務面で得意なこと、不得意なことが具体的にわかれば、業務のマッチングはしやすくなるよね。適材適所というのは発達障害の人に限らずだけど、得意なことと不得意なことの差が大きい発達障害の人にとっては、適所を見つけるためには、一人ひとりの特性を具体的にしていくことがまず必要なんだ。どうだろう?理解できたかな?

栗本:
とてもよく理解できました。ありがとうございます!
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★参考資料
・厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」「e-ヘルスネット」「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座」ウェブサイト
国立障害者リハビリテーションセンター
国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター