【第1回】全体像がわかる!助成金、調整金、報奨金……。障害者雇用を促す国の支援制度。
障害者を採用し、雇い続けるには、設備や機器を導入したり、職場の支援体制を整えたりと、さまざまな費用がかかります。
費用があまりに高額だと、企業は障害者を雇うことが難しくなってしまいます。
そこで国(厚生労働省)は、企業の負担をやわらげるため、さまざまな「助成金」を用意しています。
助成金のほかに、「調整金」「報奨金」「特例給付金」「在宅就業障害者特例調整金」「在宅就業障害者特例報奨金」があるので、頭に入れておいてください。
今回の記事では、これら企業への経済的支援策について「全体像」をお伝えします。まず、下の表をご覧ください。
「助成金」(12種類)は、①雇用保険を財源とするもの、②障害者雇用納付金を財源とするもの――に分かれます。
「調整金」「報奨金」「特例給付金」「在宅就業障害者特例調整金」「在宅就業障害者特例報奨金」は、障害者雇用納付金が財源となっています。
雇用保険について簡単に説明します。
雇用保険は、国が運営する公的保険制度。主に、失業者に手当を支給して、再就職を支援するための保険です。
また、失業者への手当のほかに、企業向けの助成金をたくさん用意しています。
その中に、障害者の雇用安定を目的とした助成金があるのです。
次に、障害者雇用納付金についても説明します。
障害者雇用納付金は、「障害者雇用促進法」に定められた制度です。
大まかなしくみを、下の図にまとめました。
そして、法定雇用率を満たさない企業から「納付金」を徴収し、「助成金」「調整金」「報奨金」「特例給付金」「在宅就業障害者特例調整金」「在宅就業障害者特例報奨金」の財源に充てているのです。
※「納付金」は、法定雇用率に足りない障害者1人あたり月50,000円。常用労働者100人超の企業からのみ徴収。
「助成金」「調整金」「報奨金」「特例給付金」「在宅就業障害者特例調整金」「在宅就業障害者特例報奨金」について、おおまかなしくみを説明します。
まずは「助成金」から。
助成金は全部で12種類(令和4年度)。雇用保険の助成金が6種類、障害者雇用納付金制度の助成金が6種類です。
企業が、労働局または「高齢・障害・求職者雇用支援機構」に申請し、要件を満たしていると判断された場合にのみ、助成金が支給されます。
要件は細かく決められていて、いくつもの書類を準備しなければなりません。
申請自体にかなり手間がかかるので、社会保険労務士に代行してもらう企業もあります。
この記事では、各助成金の対象となる企業について、以下の表で簡単にお伝えします。
調整金、報奨金、特例給付金、在宅就業障害者特例調整金、在宅就業障害者特例報奨金についても、おおまかに説明します。
<調整金>
法定雇用率を達成した企業に支給されます。
法定雇用率を超えた分について、障害者1人あたり月27,000円です。
<報奨金>
常用労働者100人以下の企業で、障害者を多く雇っている企業に支給されます。
障害者雇用に熱心な中小企業を支援することが、主な目的です。
<特例給付金>
令和2年4月に施行されたしくみで、「短時間労働の障害者」を雇う企業が対象です。
「短時間労働」とは、週の所定労働時間が「10時間以上20時間未満」です。
<在宅就業障害者特例調整金/在宅就業障害者特例報奨金>
障害者を雇う(=雇用契約を結ぶ)のではなく、障害者と請負契約を結んで仕事を発注する企業が対象です。
ここでいう「在宅就業」とは、「企業に雇用されないで働く人」「フリーランス」「個人事業主」といった意味です。
「在宅就業障害者特例調整金」は、常用労働者100人超の企業
「在宅就業障害者特例報奨金」は、常用労働者100人以下の企業
に支給されます。【4】まとめ
厚生労働省の調査によると、民間企業に雇用されている障害者は全国で約60万人。18年連続で増え続けています。
企業の努力はもちろん、助成金や調整金などが寄与している面もあると思います。
障害のある従業員が、企業で戦力として活躍できるよう、ぜひ助成金などの活用を検討してみてください。
今回は、障害者雇用に取り組む企業への「国の経済支援」について、全体像をお伝えしました。
助成金や調整金などの個々のしくみはたいへん複雑なので、詳細を知りたい方は、以下を参照してください。
▽厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jigyounushi/intro-joseikin.html
▽高齢・障害・求職者雇用支援機構
https://www.jeed.go.jp/disability/index.html
費用があまりに高額だと、企業は障害者を雇うことが難しくなってしまいます。
そこで国(厚生労働省)は、企業の負担をやわらげるため、さまざまな「助成金」を用意しています。
助成金のほかに、「調整金」「報奨金」「特例給付金」「在宅就業障害者特例調整金」「在宅就業障害者特例報奨金」があるので、頭に入れておいてください。
今回の記事では、これら企業への経済的支援策について「全体像」をお伝えします。
【1】財源
表を見ると、「雇用保険」と「障害者雇用納付金」の2つの財源があることがわかります。
「助成金」(12種類)は、①雇用保険を財源とするもの、②障害者雇用納付金を財源とするもの――に分かれます。
「調整金」「報奨金」「特例給付金」「在宅就業障害者特例調整金」「在宅就業障害者特例報奨金」は、障害者雇用納付金が財源となっています。
雇用保険について簡単に説明します。
雇用保険は、国が運営する公的保険制度。主に、失業者に手当を支給して、再就職を支援するための保険です。
また、失業者への手当のほかに、企業向けの助成金をたくさん用意しています。
その中に、障害者の雇用安定を目的とした助成金があるのです。
次に、障害者雇用納付金についても説明します。
障害者雇用納付金は、「障害者雇用促進法」に定められた制度です。
大まかなしくみを、下の図にまとめました。
障害者雇用促進法では、民間企業に対して、雇用する労働者の2.3%(法定雇用率)以上の障害者を雇うよう義務づけています。
そして、法定雇用率を満たさない企業から「納付金」を徴収し、「助成金」「調整金」「報奨金」「特例給付金」「在宅就業障害者特例調整金」「在宅就業障害者特例報奨金」の財源に充てているのです。
※「納付金」は、法定雇用率に足りない障害者1人あたり月50,000円。常用労働者100人超の企業からのみ徴収。
【2】助成金
まずは「助成金」から。
助成金は全部で12種類(令和4年度)。雇用保険の助成金が6種類、障害者雇用納付金制度の助成金が6種類です。
企業が、労働局または「高齢・障害・求職者雇用支援機構」に申請し、要件を満たしていると判断された場合にのみ、助成金が支給されます。
要件は細かく決められていて、いくつもの書類を準備しなければなりません。
申請自体にかなり手間がかかるので、社会保険労務士に代行してもらう企業もあります。
この記事では、各助成金の対象となる企業について、以下の表で簡単にお伝えします。
【3】調整金、報奨金、特例給付金、在宅就業障害者特例調整金、在宅就業障害者特例報奨金
<調整金>
法定雇用率を達成した企業に支給されます。
法定雇用率を超えた分について、障害者1人あたり月27,000円です。
<報奨金>
常用労働者100人以下の企業で、障害者を多く雇っている企業に支給されます。
障害者雇用に熱心な中小企業を支援することが、主な目的です。
<特例給付金>
令和2年4月に施行されたしくみで、「短時間労働の障害者」を雇う企業が対象です。
「短時間労働」とは、週の所定労働時間が「10時間以上20時間未満」です。
<在宅就業障害者特例調整金/在宅就業障害者特例報奨金>
障害者を雇う(=雇用契約を結ぶ)のではなく、障害者と請負契約を結んで仕事を発注する企業が対象です。
ここでいう「在宅就業」とは、「企業に雇用されないで働く人」「フリーランス」「個人事業主」といった意味です。
「在宅就業障害者特例調整金」は、常用労働者100人超の企業
「在宅就業障害者特例報奨金」は、常用労働者100人以下の企業
に支給されます。
【4】まとめ
企業の努力はもちろん、助成金や調整金などが寄与している面もあると思います。
障害のある従業員が、企業で戦力として活躍できるよう、ぜひ助成金などの活用を検討してみてください。
今回は、障害者雇用に取り組む企業への「国の経済支援」について、全体像をお伝えしました。
助成金や調整金などの個々のしくみはたいへん複雑なので、詳細を知りたい方は、以下を参照してください。
▽厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jigyounushi/intro-joseikin.html
▽高齢・障害・求職者雇用支援機構
https://www.jeed.go.jp/disability/index.html
この記事は、厚生労働省、「高齢・障害・求職者雇用支援機構」の2022年5月20日時点の情報をもとに執筆しています。助成金の内容は頻繁に見直されるので、必ず最新情報をご確認ください。 |
<プロフィル>
安田武晴
特定社会保険労務士、労働時間適正管理者
1969年、東京生まれ。
大学卒業後、読売新聞の記者として、高齢者介護、障害者支援、公的年金などを取材。2013年、「取材・執筆に必要な知識を増やそう」と勉強し、社会保険労務士の国家試験に合格。2020年4月に独立し、東京・西荻窪に「社会保険労務士事務所オフィスオメガ」を開業した。
▽介護・障害事業所の「処遇改善加算」サポート
▽「メリハリのある職場づくり」のための就業規則作成
▽労務リスクを減らす「労働時間管理」アドバイス
に力を入れている。
人事担当者にぜひ知っていただきたい
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