【2025年7月22日公開】「なかぽつ」「しゅうぽつ」と呼ばれる障害者就業・生活支援センターとは?

障害者雇用を進める企業の担当者の中には、「なかぽつ」や「しゅうぽつ」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。これらは「障害者就業・生活支援センター」の略称で、障害のある方の就労と生活の両面をサポートする機関です。本記事では、なかぽつの役割、支援内容、企業がなかぽつと連携する場合の方法について詳しく解説します。障害者雇用に取り組む際、なかぽつとの連携は障害のある社員の職場定着や雇用管理に貢献します。この記事を読めば、なかぽつの仕組みや活用法を理解し、障害者雇用の質を高めるための知識が得られるでしょう。
なかぽつ、しゅうぽつ(障害者就業・生活支援センター)とは?

なかぽつ(障害者就業・生活支援センター)は、障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)に基づいて設置された機関で、平成14年の法改正により創設されました。障害のある方が住み慣れた地域で安心して働き続けられるよう、就業面と生活面の両方から総合的な支援を提供することを目的としています。
運営は、都道府県知事が指定した社会福祉法人や特定非営利活動法人(NPO法人)、公益法人(社団法人または財団法人)などが行っています。財源は主に国や地方自治体からの委託費や補助金で賄われており、利用者は無料でサービスを受けることができます。
令和7年(2025年)4月時点で、全国に338か所のなかぽつ(障害者就業・生活支援センター)が設置されており、地域の障害者雇用を支える重要な役割を担っています。
なかぽつ、しゅうぽつ(障害者就業・生活支援センター)の業務内容

センターの設置に関しては、全国の障害保健福祉圏域に各1か所ずつの整備を目標として進められており、都道府県の圏域ごとに計画的に配置されています。具体的な設置基準には、人口規模に応じた配置や、アクセスの利便性なども考慮されることがあります。
全国の障害者就業・生活支援センターの一覧は、厚生労働省のウェブサイトで確認できます。
令和7年度障害者就業・生活支援センター一覧(厚生労働省)
なかぽつ(障害者就業・生活支援センター)が提供する主な支援内容は、以下の3つの柱で構成されています。
● 就労に関する支援
● 生活に関する支援
● 関係機関との連携
これらの支援を通じて、障害のある一人ひとりの状況に合わせたサポートを提供し、職業的自立と安定した社会生活の実現を目指します。以降で、これらの業務内容について詳しく見ていきましょう。
就労に関する支援
なかぽつ(障害者就業・生活支援センター)は職業訓練を主たる目的とする訓練機関ではなく、あくまで就労に関する相談や必要な機関への橋渡し、職場定着のサポートを行う機関です。
具体的には、以下のような支援です。
● 就職活動の支援
● 職業準備訓練や職場実習のあっせん
障害のある方がこのサービスを利用するためには、まずセンターへの登録が必要となります。
職場定着の支援
障害のある方が就職した後も、その職場で長く安定して働き続けられるように、なかぽつは職場定着の支援に力を入れています。利用者が就労を開始すると、就業支援担当員が定期的に職場を訪問したり、ご本人と面談したりする形で、継続的なサポートが提供されます。これにより、職場で生じる可能性のあるさまざまな問題に早期に対応し、安心して業務に取り組める環境づくりを支援します。
たとえば、仕事の進め方に関する悩み、職場の人間関係におけるつまずき、その他業務遂行上で困っていることなど、幅広い相談に応じます。
障害者の雇用管理に対する情報提供や支援
なかぽつ(障害者就業・生活支援センター)は、企業に対して、雇用管理に関する専門的な情報提供や具体的な支援も行っています。これには、障害のある方の障害特性や、雇用管理上必要となる情報(たとえば、効果的な指示の出し方や休憩の取り方など)の提供が含まれます。
また、実際に職場で不適応が生じた場合の対応についても、企業からの相談に応じ、解決に向けたサポートを提供します。障害のある方が働きやすい環境を整えるために、それぞれの障害特性や持っている能力を的確に把握し、それに基づいた具体的なアドバイスをもらうことができます。雇用した障害のある方が、与えられた仕事や職場環境にうまく適応できない場合に、どのように対応すればよいかといった具体的な相談にも対応しています。
生活に関する支援
具体的には、障害年金の申請手続きに関する助言や、利用可能な福祉サービスの紹介、さらには長期的な視点での生活設計に関する相談にも応じます。これらの生活支援は、あくまで障害のある方が安心して職業生活を送り、継続して就労するために行われるものです。状況に応じて、主治医との連携を図りながら健康面でのサポートを調整したり、年金事務所や福祉サービス提供機関と協力して必要な手続きを進めたりするなど幅広く支援しています。
関係機関との連携
これは、個々の障害のある方の状況やニーズに応じて各機関が持つ専門性やサービスを効果的につなぎ合わせる機能です。この機能は、なかぽつの支援活動における基幹機能と位置づけられており、地域全体の支援力を高める上で中心的な役割を果たしています。企業の人事担当者様にとっても、採用や定着支援の過程でさまざまな専門機関のサポートが必要となる場面があると考えられますが、なかぽつ(障害者就業・生活支援センター)がその連携のハブとなることで、よりスムーズで包括的な支援体制の構築が期待できます。
なかぽつ・しゅうぽつ(障害者就業・生活支援センター)の利用対象者は?

● 障害者手帳を取得している人
● 15歳以上65歳未満が対象
これらの条件について、以降で詳しく解説します。
障害者手帳を取得している人
ただし、必ずしも手帳の所持が絶対条件というわけではありません。手帳を現在申請中の方や、手帳は持っていなくても、医師の診断書や意見書などによって、障害があり就労や生活面で支援が必要であると認められる場合には、利用対象となることがあります。
15歳以上65歳未満が対象
企業の人事担当者様が採用を検討される障害者がこの年齢範囲に該当する場合、なかぽつ(障害者就業・生活支援センター)との連携によるサポートが期待できる可能性があります。ただし、これも原則であり、65歳以上の方であっても、状況によっては相談に応じてもらえるケースも存在しますので、個別の状況については直接なかぽつへお問い合わせいただくのが確実です。
なかぽつと企業が連携するメリットとは?

採用した障害者の定着の支援
多くの企業にとって、社員の私生活の領域に深く立ち入って支援を行うことは、プライバシーの観点も難しい場合があります。また、障害特性や、疾患、服薬管理といった事柄に関しては、企業の人事担当者や現場の管理者が必ずしも専門的な知識を有しているわけではありません。なかぽつは、こうした企業だけではカバーしきれない領域において、専門的な知見と経験に基づいたアドバイスや、関係機関との連携を含む具体的なサポートを提供することで、障害のある社員の安定した就労を力強く後押しします。
就労定着支援との違い

支援するスタンスが違う
まず、就労定着支援サービスは、障害福祉サービス(就労移行支援、就労継続支援など)を利用して一般就労した方が利用する障害福祉サービスです。原則として月1回以上のペースで担当者が就職先の企業や事業所で障がいのある方と面談を行い、職場環境や生活リズムなどを聞き、課題の把握を行います。それを基に課題解決のアドバイスや就職先の企業への訪問、関係機関との連携を行い、働きやすい環境づくりを行います。
また、支援期間は期間は最大3年間となっています。
一方なかぽつ(障害者就業・生活支援センター)では、対応できる仕様は定められておらず、一人ひとりの状況やニーズに応じた支援が提供されます。また、就労定着支援と異なり、利用期間の定めは特にありません。また、利用料・相談料は原則無料となっています。
就労定着支援サービスが原則として月1回以上の支援を提供しているのに対して、なかぽつの支援は支援頻度などが定められていないため、企業担当からみると、戸惑いを覚えることがあるかもしれません。
それは、就労定着支援となかぽつ(障害者就業・生活支援センター)の支援のスタンスが異なることが理由です。
就労定着支援は就職後6か月のフォローアップ期間の後の3年間、障害のある方が職場に定着するための支援です。
一方でなかぽつ(障害者就業・生活支援センター)は障害のある人の自立と、安定した職業生活の実現のための支援と幅広くなっています。
定着支援事業期間満了後になかぽつに引き継がれることも
なかぽつの支援には利用期間の定めがないため、仕事や生活に関しての困りごとを継続的に相談できる機関への登録があるということは、企業にとっても心強いポイントの一つです。
企業としては、長期的な視点で障害のある社員をサポートする体制を考える上で、こうした制度間の連携を理解しておくとよいでしょう。
企業がなかぽつと連携するポイント

具体的には、まず、特別支援学校卒業後のフォローアップ期間(約3年程度)や、就労移行支援事業所による定着支援期間(通常、就職後6ヶ月)、あるいは就労定着支援事業による支援期間(最長3年)が終了した後に、なかぽつ(障害者就業・生活支援センター)が支援をを引き継ぐケースを理解しておくことが挙げられます。
留意したいのは、その支援はこれまでの機関と同様の支援を提供するというよりは、ゆくゆくは支援がなくてもその人が社会の中で働いて生活していけるよう、職場の人などに必要なことを相談できるようといったナチュラルサポートを意識した支援であることです。
そういった点では、企業は戸惑いを感じるかもしれません。
企業は、そういったことを理解した上でうまく付き合っていけばよいです。
障害のある社員のことで少しでも気になることや困ったことがあれば、「こんなことで相談していいのだろうか」と遠慮することなく、気軽に相談する姿勢が大切です。
早期の相談が、問題の深刻化を防ぎ、より良い解決策を見つけることにつながります。さらに、なかぽつ(障害者就業・生活支援センター)は多くの企業や障害のある方の支援実績があるため、他社の事例や効果的な取り組みについて情報提供を求めることも有益です。
まとめ
なかぽつ(障害者就業・生活支援センター)の利用対象者は、原則として障害者手帳を持つ15歳以上65歳未満の方ですが、状況によっては手帳がなくても利用できる場合があります。企業にとっては、障害のある社員の職場定着や雇用管理に関する専門的なアドバイスや支援を受けられるという大きなメリットがあります。
就労定着支援との違いを理解し、適切なタイミングでなかぽつ(障害者就業・生活支援センター)と連携することで、障害のある社員の長期的な就労継続を実現することができるでしょう。早めの相談や情報共有、他社事例の参考など、なかぽつ(障害者就業・生活支援センター)との連携を深めるためのポイントを押さえておくことが重要です。
障害者雇用を進める上で、なかぽつは(障害者就業・生活支援センター)心強いパートナーとなります。障害のある方が「働く」と「暮らす」の両面で安心して社会参加できるよう、なかぽつ(障害者就業・生活支援センター)の機能を積極的に活用していきましょう。
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