【2025年6月3日公開】てんかんを持つ人を雇用する際に知っておくべきこととは?

自社の障害者雇用を改善するヒントがあります!
精神・発達障害者雇用の成功事例レポート

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近年、ダイバーシティの観点から多様な人材を受け入れる企業が増えています。しかし、てんかんを持つ方の雇用に関しては、具体的な知識や対応方法が分からず戸惑っている人事担当者も少なくないでしょう。てんかんは適切な治療や周囲の理解によって、多くの方が一般社会で活躍できる状態にあります。


本記事では、てんかんとはどのような疾患か、どのような配慮が必要かといった基本的な知識から、実際の職場での対応方法まで解説します。てんかんを持つ方の雇用に関する正しい知識を身につけることで、適切な配慮ができる職場環境づくりにお役立てください。

てんかんとは

てんかんは、脳の神経細胞(ニューロン)が過剰に興奮し、異常な電気的活動を起こすことで発生する慢性的な脳疾患です。この電気的な異常が脳内で起こると「てんかん発作」としてさまざまな症状が現れます。発作の症状は人によって大きく異なり、全身のけいれんや意識の喪失といった広く知られているものから、一時的な感覚の異常や短時間の意識の途切れなど、外からは気づきにくいものまで多岐にわたります。

てんかんは決して珍しい病気ではなく、世界中で約5,000万人、日本では約100万人がこの疾患を持つと推定されています。小児期に発症することが多いものの、実際には年齢を問わず誰にでも起こりうる疾患です。特に高齢者では脳卒中や認知症に続発するてんかんが増えており、近年は高齢発症のてんかんが注目されています。

てんかんの原因は多様で、遺伝的要因、脳の構造的異常、脳の外傷、感染症、脳腫瘍、脳血管障害などさまざまなものが考えられますが、約半数は明確な原因が特定できない「特発性」と呼ばれるものです。

長い間、てんかんは誤解や偏見の対象となってきましたが、現代では医学的に理解が進み、適切な治療と配慮によって多くの罹患者が通常の社会生活を送ることが可能になっています。

てんかんは薬を利用することでコントロールできる

てんかんは薬物療法によって効果的にコントロールできる疾患です。抗てんかん薬は脳内の過剰な電気活動を抑制し、発作の発生を防ぐ効果があります。適切な薬物治療を継続することで、約70~80%のが発作を抑制できるようになるといわれています。

治療の成功には、医師の指示通りに規則正しく服薬を続けることが重要です。突然の服薬中止は発作の再発リスクを高めるため注意しましょう。また、適切な薬剤や投与量を見つけるまでに時間がかかる場合もあるため、粘り強く治療を続けることが大切です。

職場や日常生活では、周囲の理解と適切な配慮が不可欠です。定期的な通院のための時間確保や、発作を誘発しうる環境(睡眠不足、過度のストレス、強い光刺激など)への配慮が必要な場合があります。また、万が一発作が起きた場合の適切な対応方法を周囲が知っておくことで、が安心して社会生活を送れるようになります。てんかんへの正しい理解と適切な支援環境があれば、多くの罹患者が一般社会で活躍できることを認識することが大切です。

てんかんには主に2種類ある

てんかんは大きく「部分てんかん(焦点性てんかん)」と「全般てんかん」の2種類に分類されます。この分類は発作が脳のどの部分から始まるかによって決まります。

部分てんかん(焦点性てんかん)は、脳の特定の部位(焦点)から発作が始まるタイプです。焦点となる部位によって症状が異なり、その後発作が脳全体に広がることもあります。

【部分てんかんの主な特徴】
● 発作は脳の特定の領域から始まる
● 症状は焦点となる脳部位によって異なる(運動症状、感覚症状、自律神経症状など)
● 意識が保たれる場合と失われる場合がある
● 発作後に一時的な麻痺や言語障害などの症状が残ることがある

全般てんかんは、発作が始まる時点で脳全体が関与するタイプです。両側の大脳半球が同時に過剰な電気活動を示します。

【全般てんかんの主な特徴】
● 発作開始時から脳全体が関与する
● 通常、意識障害を伴う
● 両側対称性の運動症状が多い
● 発作後の症状(発作後もうろう状態)は比較的短い

さらに、てんかんは発症の原因によって、以下のように「特発性てんかん」と「症候性てんかん」に分類されます。
参考:公益社団法人 日本てんかん協会
    てんかん情報センター
この分類はてんかんの診断、治療方針の決定、予後の予測などに重要な意味を持ちます。ただし、近年の研究の進展により、てんかんの分類はより詳細かつ複雑になっており、国際抗てんかん連盟(ILAE)による最新の分類では、さらに細分化された分類が提案されています。

てんかんの発作も大きく2種類に分けられる

てんかんの発作も、「部分発作(焦点性発作)」と「全般発作」の2つに大きく分類されます。

部分発作は脳の限られた領域から始まる発作で、症状は発作の起点となる脳部位の機能に関連します。一方、全般発作は発作の開始時点で両側の大脳半球が同時に関与する発作で、通常意識障害を伴い、両側対称性の運動症状を示すことが多いという特徴があります。

それぞれの発作タイプには、さらに細かい分類が存在し、症状の現れ方や対応方法も異なります。以降では、部分発作と全般発作のそれぞれについて、その特徴と主な症状を詳しく解説していきます。
部分発作(焦点性発作)

部分発作は、脳の決まった部分(焦点)が発作の震源地となって発生するものです。他の病気から見られる症状と区別することが難しく、対処が困難になることもあります。部分発作には意識を失わない「単純部分発作」と、意識が薄れたり、短時間だけ意識を失ったりする「複雑部分発作」に分かれます。
参考:てんかんinfo
部分発作の特徴は、脳のどの部位が焦点となるかによって症状が大きく異なることです。たとえば、運動野が焦点であれば身体の一部のけいれんとして現れ、感覚野が焦点であればしびれや異常感覚として現れます。また、側頭葉が焦点の場合は、複雑な幻覚や既視感(デジャヴ)などの独特な体験が現れることもあります。
複雑部分発作では意識が障害されるため、発作中の記憶がなく、周囲からは「ぼんやりしている」「反応が鈍い」と見えることがあります。また、服をいじったり、口をもぐもぐさせたりする「自動症」と呼ばれる無意識の行動が現れることもあります。
全般発作


部分発作の発信源が脳の一部であるのに対し、全般発作では脳全体が一度に過剰な興奮状態に陥ります。ミオクロニー発作以外は発作時に意識障害を伴い、運動機能が制御できなくなるため、周囲から見てもてんかん発作とわかりやすいのが特徴です。全般発作にはさまざまなタイプがあり、症状の現れ方も異なります。
参考:てんかんinfo
全般発作の中で最も知られているのは強直間代発作(いわゆる「大発作」)で、意識を失い全身がけいれんするという典型的なてんかん発作のイメージです。このタイプの発作では、転倒によるけがの防止が重要となります。

欠神発作は、一見するとただボーっとしているだけのように見えるため、「集中力がない」「注意力散漫」などと誤解されることがあります。特に子どもの場合は学習障害と混同されることもあるため、正確な診断が重要です。

ミオクロニー発作は、腕や脚が突然ビクッと動く発作で、通常は意識が保たれています。朝方に多く、睡眠不足や飲酒で誘発されることがあります。

脱力発作は、突然の筋緊張低下により転倒する発作で、特に小児の重症てんかんでみられます。頭部や顔面を保護するためのヘルメットが必要となる場合もあります。

てんかんの人が取得する障害者手帳とは

てんかんのある方は、病状等によって「精神障害者保健福祉手帳」(1級~3級)の対象となります。
てんかんの障害等級は、発作の種類と頻度によって判定されます。たとえば、意識障害を伴う発作や転倒を伴う発作が月に1回以上ある場合は1級、月に1回未満だが年に2回以上ある場合は2級、年に2回未満の場合は3級という判断基準です。
てんかんによって精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた方の場合は、企業は障害者雇用枠での雇い入れが可能となります。

知的障害や脳性まひ・脳腫瘍・脳梗塞等の脳原性の障害・疾患の場合にてんかんが重複することがあり、療育手帳や身体障害者手帳を所持している方もいます。
精神障害者保健福祉手帳の判定基準についての詳細は、下記もご参照ください。

参考:日本てんかん協会|精神障害者保健福祉手帳を活用していますか?
参考:厚生労働省|精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について

てんかんを持つ人ができる業務は?

てんかんのある方の就労能力は、発作の種類・頻度・重症度によって個人差があります。しかし、多くの方が適切な治療や職場の理解・配慮のもとで、さまざまな職種で活躍しています。

てんかんのある方が従事できる業務と制限される業務について理解することは、適切な職場環境の整備や本人の能力を最大限に活かすためにも重要です。以下では、てんかんのある方が従事できる業務の範囲と、法律や安全面から考慮すべき制限のある業務について詳しく解説します。

てんかんを持っていても従事できる主な業務

てんかんのある方は、適切な治療によって発作がコントロールされていれば、ほとんどの業務に従事することが可能です。特に発作が長期間にわたって抑制されている場合は、一般の方と同様に幅広い職種で活躍できます。
てんかんの種類や発作の状況に応じて、個人差はありますが、基本的には法令で明確に制限されている業務以外は従事することが可能です。特に発作が薬でコントロールされている場合や、発作が数年間起きていない場合は、ほとんどの業務に問題なく従事できます。
【てんかんのある方が従事できる主な業務】
● データ入力や事務作業などのデスクワーク
● システム開発やプログラミング
● ライティングやデザインなどのクリエイティブ業務
● 店舗での接客や販売、商品陳列
● 生産ラインでの組立や検品作業 など



ただし、環境によっては配慮が必要な場合もあります。たとえば、強い光や音、過度のストレス、極度の疲労、睡眠不足などが発作の誘因となることがあるため、これらの要素が多い環境では注意が必要です。また、発作の前兆を感じた際に一時的に休憩できるスペースの確保や、緊急時の対応体制を整えておくことも重要です。

てんかんを持っていると制限される業務

てんかんのある方が従事する業務には、法律上の制限や安全面からの配慮が必要な場合があります。これらの制限は、本人の安全確保だけでなく、同僚や顧客の安全、さらには社会全体の安全を守るために設けられています。

制限される業務は、以下のとおりです。

【制限される業務】
タクシーやバス、トラックなどの運転を伴う業務
航空機の運航を行う航空従事者(パイロットなど)
船員(船内での治療の見込みがない場合)
銃砲や刀剣類を所持する業務

これらの業務は、法律上、てんかんのある方が取得できない免許や資格が必要となる業務にあたります。また、安全面の配慮が必要な業務には、以下のようなものがあります。

【安全面から考慮すべき業務】
高所での作業(建設現場、電柱作業など)
危険な機械操作(プレス機、大型機械など)
一人で行う作業(特に人気のない場所や夜間)
不規則な勤務形態(交代制勤務、夜勤が多い業務)

てんかんの症状や発作の頻度には個人差があるため、てんかんのあるすべての方にこれらの制限が当てはまるわけではありません。特に、適切な治療によって発作がコントロールされている場合や、過去数年間発作がない場合は、医師の判断によって制限が緩和されることもあります。

とはいえ、一人で作業している際に発作が起きた場合の危険性を考慮し、特に危険を伴う環境での単独作業は避けることが望ましいでしょう。また、発作のタイプや頻度、誘因となる要素を本人がよく理解し、医師や雇用主と相談しながら適切な業務を選択することが重要です。

てんかんを持つ人を採用する際に確認しておくべきこと

てんかんのある人を採用する際は、就業定着のために企業側で以下の点を必ず確認しておきましょう。

てんかんのある本人が障害に対し、どの程度自己理解ができているか(症状の度合い、発作の頻度などの自覚)
最近発作を起こしたのはいつごろか
発作が起こったとき、自身でどのような対処を行えるか(行っているか)
周囲に対してどのような/どの程度の配慮を必要としているか

採用にあたっては上記事項について必ず本人にヒアリングし、事前確認をとっておきましょう。また、採用側もそれらについてしっかりと理解しなければいけません。また、本人と周囲の間に認識のずれがないようにしておくことも重要です。



てんかんのある方も、他の障害を持つ方と採用面接の場で聞いておくべきことは大きく変わりません。まず、その上で「自社が提供できる環境や業務、配慮の中で定着・活躍が可能か」を検討し、採用を進めていくことが大切です。

入社にあたっては、発作の状況や職場で配慮すべきことについての主治医による意見書などを提出してもらうと良いでしょう。緊急時の連絡先を必ず確認し、職場側で把握しておきます。

参考:てんかんinfo|雇用や定着のために知っておくべきこと

てんかんを持つ人を雇用するにあたり配慮すべきこととは

てんかんを持つ方の雇用にあたっての配慮は、大きく「業務に関するフォロー」「病気に関するフォロー」「上司や周囲の理解」の3つの観点から検討しましょう。これらを適切に組み合わせることで、てんかんのある方が安心して働き続けられる職場環境を構築できます。本人の症状や特性を理解した上で、個別の状況に応じた配慮を行うことが重要です。

業務に関するフォロー

業務に関するフォローとは、てんかんを持つ方が安全かつ効率的に業務を遂行できるよう、職務内容や作業環境を適切に調整することです。これは、本人の能力を最大限に発揮させると同時に、発作による事故やトラブルを未然に防ぐためにも重要な配慮となります。

具体的には以下のような配慮が効果的です。

● 業務内容の調整(本人の状況に合わせた業務の割り当て、チーム作業の推奨)
● 作業環境の整備(転倒時の怪我防止、危険物の適切な配置、光刺激の調整)
● 作業時間や休憩の配慮(適切な作業時間設定、定期的な休憩確保、フレックスタイム制)
● サポート体制の構築(メンターの配置、ジョブコーチの活用、視覚的な業務マニュアル)

業務に関するフォローを行う際には、本人のてんかん発作の特性(誘発要因、頻度、症状の程度など)を十分に理解した上で、個別の状況に応じた対応が必要です。高所作業や重量物の運搬、危険を伴う機械操作、自動車の運転など、発作が起きた場合に危険を伴う業務については、特に慎重な判断が求められます。

適切な業務調整や環境整備は、本人の安全確保につながるだけでなく、周囲の従業員の不安軽減や職場全体の生産性向上にも寄与します。本人の能力や適性を最大限に活かしながら、安全に配慮した業務設計を心がけましょう。

病気に関するフォロー

てんかんの治療において、抗てんかん薬の定期的な服用と医療機関への通院は発作コントロールの基本です。そのため、職場では治療継続をサポートするための配慮が必要となります。

【通院・服薬に関する配慮】
定期通院のための休暇取得を認める
通院日の勤務時間調整(時間休や半日休の活用)
規則的な服薬時間の確保
薬の副作用(眠気など)が出た場合の業務調整

定期通院後は、病状の変化、薬の変更の有無、次回通院の予定についても確認しておきましょう。

【生活リズムへの配慮】
シフト勤務や夜勤を避ける(特に睡眠不足が誘因となる場合)
長時間労働を防ぐための適切な業務量設定
発作の誘因となる環境要因(強い光・音・高温環境など)の除去
体調不良時に休める場所の確保

本人の治療状況は時期によって変化することもあるため、定期的なコミュニケーションを通じて必要な配慮を見直すことも大切です。場合によっては主治医の意見を参考にすることで、より適切な職場環境を整えることができます。

上司や周囲の理解

てんかんを持つ方を雇用するうえでは上司や同僚など周囲の人々の正しい理解と協力が不可欠です。てんかんに対する誤解や偏見をなくし、適切な知識を共有することで、日常的な配慮や発作時の適切な対応が可能になります。

【理解促進のための取り組み】
てんかんの基本知識や発作の種類に関する情報提供
本人の同意を得た上での、発作の症状や発作が起きた時の対応の共有
本人が相談しやすい窓口や担当者の設置


情報共有の範囲や方法については、何よりもまず本人の意向を尊重し、プライバシーに配慮しながら進めることが重要です。継続的な啓発活動や対話を通じて、職場全体のてんかんへの理解と協力を醸成していくことも期待されます。

てんかんの発作が起きた時の対応とは

職場でてんかん発作が起きた場合、適切かつ迅速な対応が求められます。発作の種類や重症度によって対応方法は異なりますが、基本的な知識と冷静な判断があれば、適切に対処することができます。万が一の発作時に備えて、事前に対応手順を確認し、必要な準備をしておきましょう。

発作時の対応は「発作が起きたとき」の直接的な対応と、「発作が起きた後」のフォローの2段階に分けられます。特に、てんかん発作を目の当たりにすると驚かれることもあり、周囲の人がパニックに陥りやすいため、冷静に対応できるよう訓練しておくことが大切です。発作時の対応マニュアルを作成し、職場メンバーに共有しておくと安心でしょう。

発作が起きたとき

てんかん発作が起きると、当事者は自分の意思とは関係なくさまざまな症状を示します。けいれんや意識消失などの症状は周囲から見ると非常に驚くものであり、周囲の人もパニックになりがちです。しかし、このような状況でも冷静に対応することが本人の安全を守るためには不可欠です。基本的な対応原則としては、以下のポイントを押さえておきましょう。

● 冷静さを保ち、慌てずに対応する
● 本人の安全確保を最優先する(頭部保護、危険物の除去)
● 無理に動きを抑えようとしない
● 発作の種類に応じた適切な対応をする(けいれん発作の場合は横向きに寝かせる、衣服の締め付けをゆるめるなど)
● 周囲の人々にも落ち着くよう促す

発作が5分以上続く、意識が戻らない、連続して発作が起こる、呼吸が困難、怪我をした場合などは緊急対応が必要です。すぐに救急車を呼ぶのが最善です。

発作時の対応マニュアルを事前に作成し、緊急連絡先や救急車を呼ぶべき状況を明記しておくことで、冷静かつ迅速な対応が可能になります。また、本人の同意を得た上で、どのような発作が起こりやすいか、特別な注意点などの情報も共有しておくと安心です。

発作が起きた後

てんかん発作が収まった後も、適切なケアが必要です。発作後、本人は強い疲労感や混乱、頭痛などを感じていることが多く、すぐに通常業務に戻ることが難しい場合があります。本人の状態に合わせた柔軟な対応を心がけましょう。

【発作後のケア】
● 十分な休息の確保(休憩室での休息、状況によっては早退や欠勤も検討)
● 心理的サポート(発作後の不安や恥ずかしさに配慮)
● 段階的な業務復帰の支援

また、発作が起きた状況を詳細に記録しておくことは、今後の予防や職場環境の改善に役立ちます。以下のような情報を記録しておくと良いでしょう。

発作の詳細(日時、持続時間、症状の経過)
発作時の状況(行っていた業務、環境要因、体調や睡眠状況)
対応の振り返り(とった対応は適切だったか、改善点はあるか)

これらの記録は、本人にから主治医に共有してもらうとなおよいでしょう。主治医にも共有することで、治療方針の見直しや職場環境の改善にもつなげることができます。

てんかんを持つ方の活躍

てんかんを持ちながらも、さまざまな分野で活躍している方々がいます。ここでは、てんかんと共に生きる方々の実際の事例をご紹介します。

【事例1:楽園画家 長沼慧さん】
小学2年生で小児てんかんを発症し、中学2年生まで治療を受けていた長沼さん。芸術の道を諦めず、現在は「楽園画家」として活躍しています。てんかんによる体力不足や感情コントロールの難しさを経験していましたが、その経験が今の創作活動の糧になっていると語っています。
参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)|働く広場(2024年7月号)

【事例2:看護師 加納佳代子さん】
38歳のときに看護師長として働きながらてんかん発作を経験し、診断を受けた加納さん。てんかんに関する啓発活動として講談を披露したり、YouTube配信を行ったりしています。てんかんの多様性を伝え、「聞いてみなければわからない」という理解促進に貢献しています。
参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)|働く広場(2024年8月号)

【事例3:シンガー 水野佳さん】
中学生の頃に初めててんかん発作を経験した水野さん。音楽活動中の事故でホームから線路に落ちるという経験をしましたが、リハビリを経て現在は北海道や東京を拠点に活動するシンガーとして活躍しています。自分の経験を通して「ありのままの自分で生きていく」ことの大切さを伝えています。
参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)|働く広場(2024年9月号)

【事例4:映画監督 和島香太郎さん】
15歳でてんかんと診断され、投薬治療で発作を抑制しながら生活している和島さん。映画監督として活動する中で、てんかんを持つことでの仕事の制約や周囲の理解について考え、発作時の対応を事前に伝えることの重要性を実感したといいます。「症状を端的に伝える練習」の大切さを語っています。
参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)|働く広場(2024年10月号)

まとめ

てんかんは適切な治療を続けることで発作を抑え、安定して就業を継続することができる疾患です。発作以外は必要最低限の配慮で、幅広い領域で活躍することが期待できます。

てんかんのある方を採用する際は、症状や発作を把握しておき、職場での適切な対処法を定めておくことが重要です。また、定期的な通院や服薬管理のための配慮、相談できる人や窓口、発作が起きた際の対応マニュアルの整備などが、安定就労を支援するポイントとなります。

多くの方々がてんかんとともに充実した職業生活を送られている事例があるように、てんかんのある方の雇用は特別なことではなく、適切な理解と配慮があれば、互いに成長できる雇用関係を築くことができるでしょう。

てんかんについてさらに詳しく知りたい方は、以下のリンクもご参照ください。

参考:公益社団法人 日本てんかん協会
参考:厚生労働省|てんかん対策

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