【2025年2月27日公開】障害者手帳の種類とは?企業が知っておくべき障害者手帳の基礎知識

企業の人事担当者にとって、障害者雇用の実務における障害者手帳に関する知識は必要不可欠です。本記事では、障害者手帳の基本的な仕組みから、企業の人事実務に直結する雇用率のカウント方法まで、体系的に解説いたします。障害者雇用の実務における基礎知識として、日々の人事業務にすぐに活用いただけるはずです。せひ最後までお読みください。
障害者手帳とは?

各手帳の交付は、生活における支障の程度や症状などを医学的・心理学的に判定し、その結果に基づいて決定される障害等級によって区分されます。この等級制度により、障害の状態や生活上の困難さに応じた、きめ細かな支援を提供することが可能となっています。
以下の表は、3種類の手帳の基本的な特徴をまとめたものです。
手帳の種類 | 根拠法令 | 等級区分 | 更新要件 |
身体障害者手帳 | 身体障害者福祉法 | 1級~6級 | 原則不要 |
療育手帳 | 各自治体の要綱等 | A(重度)・B(その他) | 自治体により異なる |
精神障害者保健福祉手帳 | 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律 | 1級~3級 | 2年ごとに更新 |
このように、手帳の種類によって等級判定の基準、有効期限などが異なるため、企業の人事担当者は、それぞれの手帳の特徴を十分に理解したうえで、適切な雇用管理を行うことが求められます。
障害者手帳の種類とは?

手帳の種類 | 対象となる障害 | 申請窓口 |
身体障害者手帳 | 視覚、聴覚、肢体不自由、内部障害など | 各地自体の障害福祉課 |
療育手帳 | 知的障害 | 児童相談所または知的障害者更生相談所 |
精神障害者保健福祉手帳 | 統合失調症、うつ病、発達障害など | 各自治体の障害福祉課 |
身体障害者手帳
交付の対象となる障害の範囲は広く、視覚障害や肢体不自由など、外見から確認できる障害に加え、心臓機能障害、腎臓機能障害、呼吸器機能障害といった内部障害も含まれています。内部障害は外見からは分かりにくいものの、日常生活や就労に大きな影響を与える可能性があるため、企業の人事担当者は十分な配慮が必要です。
また、身体障害者手帳は、原則更新が不要です。ただし、医学的な治療により障害の状態が改善する可能性がある場合や、年齢とともに状態が変化すると予想される場合には、手帳の交付から一定期間を置いた後に再認定が実施されることがあります。このような再認定制度により、障害の状態に応じた適切な支援が可能となっています。
身体障害者手帳の等級とは
身体障害者手帳の等級制度は、身体障害者福祉法施行規則別表第5号に基づいて定められています。等級は障害の種類や程度に応じて1級から7級までの7段階に分類され、1級が最も重度の障害を表します。数字が大きくなるにつれて障害の程度は軽くなっていきます。
身体障害者手帳の交付基準は、この等級制度に基づき6級以上に設定されています。つまり、7級の障害では手帳は交付されません。ただし、以下のような場合には手帳が交付される場合があります。
7級の障害を複数有する場合
7級の障害に加えて、6級以上の障害がある場合
障害者雇用における実務上、特に重要なのは、雇用率へのカウント方法です。一般的に、障害者雇用率にカウントできるのは、以下の場合となります。
1級から6級までの障害がある場合
7級の障害を複数有する場合
企業の人事担当者は、これらの等級制度を正しく理解し、適切な雇用管理を行うことが求められます。特に、採用計画の策定や雇用率の管理において、等級による区分を適切に考慮するようにしましょう。
参考:厚生労働省|身体障害者障害程度等級表(身体障害者福祉法施行規則別表第5号)
療育手帳
他の障害者手帳と異なる特徴として、療育手帳制度は全国統一の法律に基づいておらず、各都道府県・政令指定都市がそれぞれ独自の要綱を制定して運用している点が挙げられます。そのため、自治体によって手帳の名称や交付基準、受けられる支援内容が異なる場合があります。たとえば、東京都では「愛の手帳」、名古屋市では「愛護手帳」というように、地域によって手帳の呼び方もさまざまです。
療育手帳の等級とは
療育手帳の等級は、基本的に重度(A)とそれ以外(B)の2段階に分類されます。この分類は、知的障害の程度や日常生活での支援の必要性に基づいて判定されます。重度(A)判定の基準には、次の2つのケースがあります。
知能指数が概ね35以下で、以下のいずれかに該当する場合
日常生活において、食事や着脱衣、排泄、洗面などの基本的な動作に介助を必要とする
異食行動や著しい興奮状態など、特別な配慮を要する問題行動がある
知能指数が概ね50以下で、以下の状態にある場合
視覚障がい、聴覚障がい、肢体不自由などの身体障害を併せ持つ
これらの基準に該当しない方は、それ以外(B)として判定されます。B判定の方の中にも、支援の必要性に応じて、さらに細かい区分を設けている自治体もあります。
企業の人事担当者は、応募者や従業員が所持している療育手帳の交付地域や等級を確認し、その地域での制度内容を理解したうえで、適切な配慮と支援を行うことが重要です。
参考:厚生労働省|療育手帳制度の概要
精神障害者保健福祉手帳
手帳の判定には、医師による精神疾患の診断結果だけでなく、日常生活における能力障害の状態も考慮されます。つまり、医学的な所見と実際の生活における制限の両面から総合的に判断が行われ、その結果に基づいて1級から3級までの等級が決定されます。
精神障害者保健福祉手帳の等級とは
精神障害者保健福祉手帳の等級は、精神疾患の状態と日常生活における能力障害の状態を総合的に判断して決定されます。等級は以下の表のように1級から3級まで分類され、それぞれの等級で必要な支援の度合いが異なります。
等級 | 日常生活での例 | 支援の必要性 |
1級 | ・付き添いがなければ外出できない | 常時支援が必要 |
2級 | ・付き添いなしでの外出は可能だが、ストレスによる負荷がかかると一人では対処できない | 相当な支援が必要 |
3級 | ・日常的な家事はできるが、状況の変化に対応できないことがある | 部分的な支援が必要 |
なお、精神障害者保健福祉手帳は2年ごとの更新が必要であり、その時点での状態に応じて等級が見直される可能性があることにも留意が必要です。
参考:厚生労働省|精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について
障害者雇用率のカウントと等級の関係性

一方、精神障害者については、等級による区分はあるものの、重度という取り扱いは設けられていません。そのため、カウント方法は労働時間のみによって決定されます。
なお、企業が障害者雇用率に算入できるのは、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳のいずれかを持っている方に限られます。企業の人事担当者は、これらの手帳の有無や等級を正確に把握し、適切な雇用管理を行うことが求められます。
重度障害者のカウント方法とは
障害の種類 | 労働時間 | カウント数 |
一般の障害者 | 30時間以上 | 1.0 |
20時間以上30時間未満 | 0.5 | |
重度身体障害者/重度知的障害者 | 30時間以上 | 2.0 |
20時間以上30時間未満 | 1.0 | |
10時間以上20時間未満 | 0.5 | |
精神障害者 | 30時間以上 | 1.0 |
20時間以上30時間未満 | 1.0 | |
10時間以上20時間未満 | 0.5 |
精神障害者については、週30時間以上勤務と短時間勤務(週20時間以上30時間未満)はともに1人分、より短時間(週10時間以上20時間未満)の場合は0.5人分としてカウントされます。
参考:厚生労働省 障害者雇用率制度の概要
身体障害の重度とは
身体障害における重度認定は、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
1.身体障害者手帳の等級が1級または2級である
2.身体障害者手帳の等級が3級で、異なる障害が重複している
これらの条件は、法的根拠に基づく客観的な基準として設定されており、雇用率のダブルカウントなど、各種支援制度の適用判断に用いられます。
知的障害の重度とは認定の要件
知的障害の重度認定には、以下の3つの方法があります。
1.療育手帳で程度が「A」と判定されている
2.児童相談所または知的障害者更生相談所から、療育手帳「A」相当との判定を受けている
3.障害者職業センターにより「重度知的障害者」と判定されている
なお、自治体によって療育手帳の名称や判定基準が異なる場合があるため、各地域の制度を確認する必要があります。
精神障害者保健福祉手帳は2年ごとの更新
なお、精神障害者保健福祉手帳には以下2点の特徴があります。
・重度の区分が設けられていない
・2年ごとの更新が必要
特に更新については、期限切れにより手帳の効力が失効すると、障害者雇用率のカウントができなくなります。企業の人事担当者は、更新時期を適切に管理し、従業員に対して更新手続きの案内を行うなど、計画的な対応が求められます。
まとめ
特に企業の人事担当者は、各手帳の特徴や等級制度を理解したうえで、適切な雇用管理を行うことが求められます。重度障害者のダブルカウント制度や精神障害者保健福祉手帳の2年ごとの更新など、雇用率の算定に関わる重要な制度について、正確な知識を持っておくことが大切です。これらの基礎知識は、障害者雇用の推進と適切な職場環境の整備において不可欠なものとなるでしょう。
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