障害者雇用Q&A

Q
精神障害者の職務遂行能力はどの程度まで期待できるのでしょうか?

双極性障害の疾患のある社員を採用しました。面接ではとても好印象で満場一致で採用となりました。ところが、想像以上に業務遂行スキルが低く困っています。

もっと頑張ってほしいと伝えましたが、これ以上要求されるようなら辞めたいと言われてしまいました。健常者と同じようにとまでは言いませんが、一定の能力を発揮してもらわなければ困ります。精神障害者に対しては、業務スキルをどの程度まで期待してよいのでしょうか。

A

【精神障害者の業務スキル】保有スキル、得意不得意をもっと具体的に情報収集したうえでの個別判断となります。

双極性障害を含む精神疾患を持つ人には、認知機能の障害を認める人は少なくありません。認知機能とは、記憶、思考、理解、計算、判断、実行などの知的な能力のことを指します。認知機能の障害があるからといって、その機能すべてに障害があるということでもありません。一人ひとりその苦手なことは異なるのです。

面接での印象がよかったので採用したということですが、口頭でのコミュニケーション能力の高さに比べ、作業スピードや判断能力が低い人は多く存在します。口頭での受け答えから全般的に能力が高いと捉えてしまいがちですが、決してそうではないことをまずは理解する必要があります。

まずは支援機関に相談してください。本人の特性に関する情報提供を受けながら、ご本人の得意なことや苦手なことについてもう少し具体的に把握することに努めてください。

全般的なとらえ方で「業務スキルが低くて困る」ということですが、一般の人からすると「簡単な仕事」だと思えるような業務でも、そのご本人にとっては、とても難易度の高い仕事であることはよくあることです。そしてその苦手な仕事は極力避けていくことが求められます。これこそが合理的配慮の提供です。

また精神障害者を含む多くの障害者の方は、業務遂行の水準が表面的には低くみられる場合でも、業務の選定、伝え方、指導の方法などを変えることでびっくりするほど高いパフォーマンスを発揮してくれることもあります。精神障害者の能力は雇用側のマネジメント次第だということかもしれません。

一般論で精神障害者の業務スキルの高い低いを議論することは、企業、障害者本人のどちらにとってもメリットがないと思います。


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