東急リバブル株式会社
  • 採用支援サービス
  • 雇用管理体制構築支援
  • 研修
働きやすさと働きがいの追求が
定着率88.2%(6年間)の鍵

4人からスタートした精神・発達障害採用
チームの功績を社内表彰されるまでに成長

東急リバブル株式会社 人材開発部 ダイバーシティ課 担当部長 野中 絵理子 様

従来の採用に限界を感じ、これまでと違った発想で
障害者雇用を進めていく必要がありました

Q. お声掛けいただいたのが2014年。それより以前から重度身体障害者の在宅雇用を積極的に進めておられ、高い成果を上げていらっしゃいました。

野中様: 東急リバブルの社員の多くは各地の営業センターで不動産売買・仲介の営業や契約業務に従事しています。不動産の仕事は専門的な知識が必要であることに加え、物件や顧客ごとに内容が異なる非定型業務が中心であるため雇用機会の創出は簡単ではありませんでした。

そういった背景から、2006年より障害者の職業訓練を行うNPOと連携し、重度の身体障害のある方の在宅雇用を積極的に進めてきていました。イラストレーター(ソフト)で不動産物件の図面作成を行ってもらうという仕事なのですが、現場は大変助かりますし、テレワークでの重度の障害者の雇用機会の創出に貢献したことが外部機関から評価されるなどの成果もありました。

東急リバブル株式会社
人材開発部担当部長兼ダイバーシティ課長
野中 絵理子 様

Q. 在宅雇用では実績もノウハウもお持ちでしたのに、精神障害者雇用に舵を切った理由は、何だったのでしょうか。

野中様: 在宅雇用の形では、採用できる人数には限りがあり、なかなか法定雇用率の達成が見通せない状況でした。
理由の一つは、従業員数の増加です。FVPに相談した2014年当時、中途、新卒を合わせて毎年200人程度の従業員が増加し続けていました。障害者採用の数にしますと毎年4人程度の採用が必要でした。

在宅雇用で働くサテライトチーム。
不動産物件の地図、間取り図、営業担当の似顔絵を作成している

Q. 毎年4人程度の採用が必要だと。

野中様: そうなんです。ですが、在宅勤務の障害者採用数は先細り感がありました。重度の身体障害者の方は、障害が重度であるためにフルタイムの時間就業することが困難であったり、図面の作図のためにソフトを使いこなす業務スキルや在宅勤務ならではのコミュニケーションスキルも求められますので、難易度は高いのです。さらには、せっかく長く働いていただいても、障害が進行して就業継続が困難になる方も増えてきていました。
これまでと違った発想で、障害者雇用を進めていかなければ、社会的責任である法定雇用率達成は見通しが立たないという状況でした。しかし、社内にはノウハウを持った人材は見当たらないという課題意識がありました。

依頼したのは、早くから精神障害者採用・定着のコンサルティングに取り組み、
実績を持っていたから

Q. そういった状況があって、FVPにお声掛けをいただいたのですね。

野中様: はいそうです。 

FVPについては、当時の人材採用担当の社員から情報提供がありました。同社員は、人材派遣会社の出身でFVPのことを知っていたのです。 
法定雇用率が2.2%へ引き上げられる2018年4月には、雇用義務の対象に精神障害者が加わるということで、先んじて精神障害者の雇用を開始したいとは思っていました。しかし、当時、当社には精神障害者の採用や定着に関しての知見がありませんでした。 
そこで、早くから精神障害者採用・定着のコンサルティングに取り組み、実績を持っているというFVPに依頼することにしました。 

Q. 実際にコンサルティングが始まっていかがでしたでしょうか?

野中様: 2名の発達障害のある社員と2名の精神障害者のある社員2名、合計4名の採用から始まりました。業務の切り出し(職域開発)や、実習(インターシップ)、面接での助言、受け入れ後の環境整備、支援機関との連携など、精神障害者の採用、雇用環境整備に関して、実体験に基づいた有効な提案をしていただきました。精神発達障害者の採用、定着について、まったく経験のなかった当社にとって、とてもありがたいことでした。 

精神・発達障害者雇用で入社後1年以内に離職した人はこれまで2名のみ(定着率97.0%)
この6年間での就業定着率88.2%は誇りです

Q. 定期的に障害者採用を実施され、今や61名もの方が活躍されていらっしゃいます。

野中様: おかげさまで法定雇用率はクリアし、その後の採用についても見通しを持てるようになりました。採用と定着の仕組み、障害者メンバーがチーム体制で自走できる仕組みも作ることができました。

成功事例を作るとは簡単に言いますが、全く経験のない当社だけで立ち上げ、成功事例を作るということは困難でした。FVPの支援があったおかげだと感謝しています。

チャレンジスタッフチーム。
一般管理や各部ラインスタッフから依頼の定例事務業務を行っている

立ち上げがうまくいきましたから、精神・発達障害者雇用を自信をもって発信できました。仕事についても「こんな仕事をやってもらいたい」と、どんどん依頼が増えていきました。求職者の方も「ああ、こんな感じで仕事をするのか」「ここで働きたい」というイメージを持っていただきやすかったと思います。

4人の採用からスタートした採用ですが、6年たって61名まで増えました。社内では、チャレンジスタッフチームと呼んでいるのですが、1年定着率は97.0%、6年間でも88.2%という高い定着率です。

現在、チャレンジスタッフチームは61名の大所帯。
なくてはならない人財となっている

Q. 現在は、精神・発達障害のあるスタッフ様が業務差配や進捗管理をなさっているんですよね。

野中様: はい。そうです。

業務を受けるところから、業務差配、進捗管理、品質管理、必要であればチーム内でのレクチャー・助言なども6人の「サポーター」のチャレンジスタッフがやってくれています。

「サポーター」のチャレンジスタッフが
チームを支える

チャレンジスタッフたち自身で運営していける自立自走チームに育ちました。手前味噌な表現で恐縮ですが、私自身そのことがとても嬉しいです。

チャレンジスタッフたち自身で
運営していける自立自走チームに

一般社員の残業時間削減、業務プロセスの改善などの効果が顕著

Q. 障害者雇用にどのような成果をお感じになられていますか?

野中様: 法定雇用率の達成はもちろん成果です。それだけではなく、障害者雇用については、今のやり方で大丈夫だと自信をもって進めていくことができると感じます。採用の仕組み、定着に向けたサポート、育成についても、「大丈夫」という感覚があります。

Q. 当社の支援がお役に立てたようでとても嬉しいです。

野中様: 精神障害者に担当してもらう業務を切り出しますと、それがきっかけとなり各部門の業務の標準化(マニュアル作成、見える化)が進むんです。そのことで社員の残業時間が減ったり、業務の納期が短縮したり、業務そのものの品質が向上していくという事例はたくさん生まれています。
障害者雇用を進めていくことによる好循環が生まれているんですよ。

最近では、RPA業務にも取り組んでいます。業務効率化、生産性向上という切り口で会社に貢献していくという推進例になっています。

さらには、不動産の成約者向けのギフトという外注業務の内製化に成功したのも、障害者雇用の成果ですね。

Q. フラワーアトリエプロジェクトですね。

野中様: 当社のお客様にお送りしていたギフトフラワーは、外注でコストがかかっていました。これを内製化し、スタンディングブーケ、ハーバリウムなどを精神障害のあるスタッフたちが製作し、梱包して発送する取り組みです。ここもFVPさんに手伝っていただきましたね。専門のフラワーショップにも手伝っていただいて(笑)。

アトリエスタッフチーム。不動産売買成約したお客様へ贈る
ギフトフラワーを制作する

Q. 当社のサービスをどのようにご評価いただけますでしょうか

野中様: コンサルタントの方は、どなたも障害者雇用に対する高い視座と具体的な知識をお持ちで、場面、場面でとても的確に助言や支援をしてくださいました。おかげさまで、当時、精神・発達障害者雇用の実績のない当社で「初めての精神・発達障害者雇用」の成功事例を作ることができました。そしてその成功事例を土台にどんどん採用を進めていき、今の総勢61名のチャレンジスタッフチームになっていったことはFVPさんというパートナーあってのことだと思います。

生花で作られたフラワーアレンジメント

さらには、直接的な障害者採用、障害者雇用率の達成だけでなく、当社のダイバーシティ経営の基盤づくりに貢献していただいたことも大きな収穫ですね。

プリザーブドフラワーやドライフラワーを専用オイルに浸したハーバリウム

「自分の会社が障害者雇用を頑張っていることを誇りに思う」という社員の声

Q. ダイバーシティ経営の基盤づくりにもお役に立てたと言っていただき光栄です。

野中様: 啓発研修に参加した社員が「自分は障害者雇用の担当じゃないけど応援したい」「自分の会社が障害者雇用をこんな形で頑張っているということを知らなかった。誇りに思う」という意見を寄せてくれました。これはうれしいことでした。

同じオフィスの中で、一緒に彼ら(障害のあるスタッフ)と働いているからこその社員の発言だと思います。

当社では、チャレンジスタッフたち一人ひとり、彼らの個性、能力は必ず花開くと信じ、「しぶとく、粘り強く」という方針でやってきました。

働きやすい職場づくりと
成長できる環境を追求している

彼らの活躍できるようになった要因は、「会社のなかでの役割」言い換えれば「居場所」がきちんとつくられたからなのかなと感じるんです。 

障害のあるスタッフたちの働きやすい職場を整え、さらに成長できる環境を整えていく。これは、我々社員の働きやすい環境と成長する環境づくりと何ら変わりないと感じています。 
まだ整理できていない部分も多いですが、障害者雇用で得られた経験は絶対に役に立つと思います。ダイバーシティ経営の本質の一つのようにも思うんですよね。 

日経BP社発行『日経ビジネス』2017年10月23日号

Q. 社内外から評価されることが増えていると伺いました。

野中様: はい、ありがたいことに各種メディアの取材も増えてきました。障害者雇用に取り組みたいがどのように進めてよいかわからない企業などからの問い合わせ、行政機関からの講演依頼もいただくようになりました。チャレンジスタッフの頑張りを社外の方に褒めていただくことは何よりもうれしいことです。

独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 刊行
『働く広場』2019年4月号

また、「リバブルアワード」という社内表彰制度がありまして、成績優秀者の表彰制度なのですが、2019年に営業部門の社員の中に混ざって「自立自走し生産性向上に寄与」ということで社長表彰を受けました。障害のある社員の表彰は、当社始まって以来の快挙です。

社内表彰「リバブルアワード」を受賞したときの記念写真

定年まで働けて自立が可能な就業環境を実現していきます

Q. 今後の障害者雇用の展開についてお聞かせいただけますか?

野中様: 障害のある社員の採用~定着、活用の段階からさらに一歩、二歩進め、活躍へと舞台を広げていきます。「定年まで働けて自立した生活が可能になるような就業環境」を作っていきたいと考えます。働きやすさの改善、処遇改善を前提とした特例子会社化を目指しています。そして、PC集計、データ加工、ネット関連業務といったシェアードサービスへの集中・専門化を図っていきます。これにより精神障害のある社員の個々の能力をさらに引き出し、障害者雇用が全社の生産性向上を支えるように推進していきたいと思っています。