「障害者雇用ビジネス」に、どう向き合うか?
※この文章は、2026年1月10日に、関係者・知人にメールで発信したものです。皆さん、こんにちは。
SACEC(障害者雇用企業支援協会)顧問の土屋です。
本年も、どうぞよろしくお願いいたします。
昨年末の通信で、厚生労働省の「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」において、次期制度改正に向けた検討が行われていることをお話ししました。
12月24日の研究会では、事務局から「これまでの議論の整理」が提示され、取りまとめに向けて議論が進められています。
https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001620238.pdf =資料①
この研究会では、障害者雇用の「質」に関連して、いわゆる「障害者雇用ビジネス」に関する対応も、議論の対象となっています(12月1日)。
https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001601782.pdf =資料②
障害者雇用ビジネスは、厚生労働省によれば、
「障害者の就業場所となる施設・設備(農園、サテライトオフィス等)及び障害者の業務の提供等を行う事業」
を言うものとされ、同省が把握したところによれば、全国で46の事業者が運営し、1万1千人以上の障害者がその場所で就業しているとされています。
(その概要や課題は、添付のファイル(資料②・抜粋)をご参照ください)
限られた例ですが、私も障害者雇用ビジネスの現場を見せていただいたことがあります。
そのとき感じたのは、このビジネスを利用する企業が雇用主となって、その企業が借りた区画の中で障害のある人たちが働いているとしても、行われている作業の様子を拝見し、生産物の使われ方をお聞きする限り、「利用企業にとって、これは本当に企業の生産活動なのだろうか?」ということでした。
企業活動の一環であれば、経営戦略において、どのように位置づけられているのか?
多額と目される利用料金の支払は、企業経営として合理的なものなのか?
法定雇用率達成と引き換えのコストと考えていないか?
私は、障害者雇用ビジネスをめぐる課題は、概ねこれらの点に集約されると考えています。
研究会では、網羅的な実態把握(利用企業による報告)の必要性とともに、事業者と利用企業に向けたガイドラインの制定が、対応策として議論されています。
その中で、利用企業に対するガイドラインの項目のひとつとして、
「障害者の就業を通じた成果物は、利用企業自身の事業活動において有為に活用すべき旨」
が提示されており(資料①・P5)、私の問題意識とも一致しています。
一方、障害者雇用ビジネスの利用が、短期間で大きく増加傾向にあることについて、資料②(P12)では、次のように記載されています。
「この背景には、『ビジネスと人権』等の国際的な要請やコンプライアンス意識の高まりの一方で、法定雇用率を達成するために求められる現実的なハードル(職務の選定・開拓、採用、合理的配慮の実施、育成等)を乗り越えることが容易でないと感じられることによって、利用企業にとってのニーズが増大していることによると考えられる。」
また、資料①(P4)では、次のような意見があったことも紹介されています。
「障害者雇用ビジネスの利用拡大の背景には、近年の法定雇用率の大幅な引上げがあることから、制度見直しを求める意見もあった。」
背景にあるこれらの要因に関しても、しっかりと対応策を検討しつつ、
障害者雇用ビジネスのあり方(利用のあり方)について、引き続き議論が深められ、
働く障害者の真の活躍につながる施策が打ち出されることを期待したいと思います。
SACEC(障害者雇用企業支援協会)顧問の土屋です。
本年も、どうぞよろしくお願いいたします。
昨年末の通信で、厚生労働省の「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」において、次期制度改正に向けた検討が行われていることをお話ししました。
12月24日の研究会では、事務局から「これまでの議論の整理」が提示され、取りまとめに向けて議論が進められています。
https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001620238.pdf =資料①
この研究会では、障害者雇用の「質」に関連して、いわゆる「障害者雇用ビジネス」に関する対応も、議論の対象となっています(12月1日)。
https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001601782.pdf =資料②
障害者雇用ビジネスは、厚生労働省によれば、
「障害者の就業場所となる施設・設備(農園、サテライトオフィス等)及び障害者の業務の提供等を行う事業」
を言うものとされ、同省が把握したところによれば、全国で46の事業者が運営し、1万1千人以上の障害者がその場所で就業しているとされています。
(その概要や課題は、添付のファイル(資料②・抜粋)をご参照ください)
限られた例ですが、私も障害者雇用ビジネスの現場を見せていただいたことがあります。
そのとき感じたのは、このビジネスを利用する企業が雇用主となって、その企業が借りた区画の中で障害のある人たちが働いているとしても、行われている作業の様子を拝見し、生産物の使われ方をお聞きする限り、「利用企業にとって、これは本当に企業の生産活動なのだろうか?」ということでした。
企業活動の一環であれば、経営戦略において、どのように位置づけられているのか?
多額と目される利用料金の支払は、企業経営として合理的なものなのか?
法定雇用率達成と引き換えのコストと考えていないか?
私は、障害者雇用ビジネスをめぐる課題は、概ねこれらの点に集約されると考えています。
研究会では、網羅的な実態把握(利用企業による報告)の必要性とともに、事業者と利用企業に向けたガイドラインの制定が、対応策として議論されています。
その中で、利用企業に対するガイドラインの項目のひとつとして、
「障害者の就業を通じた成果物は、利用企業自身の事業活動において有為に活用すべき旨」
が提示されており(資料①・P5)、私の問題意識とも一致しています。
一方、障害者雇用ビジネスの利用が、短期間で大きく増加傾向にあることについて、資料②(P12)では、次のように記載されています。
「この背景には、『ビジネスと人権』等の国際的な要請やコンプライアンス意識の高まりの一方で、法定雇用率を達成するために求められる現実的なハードル(職務の選定・開拓、採用、合理的配慮の実施、育成等)を乗り越えることが容易でないと感じられることによって、利用企業にとってのニーズが増大していることによると考えられる。」
また、資料①(P4)では、次のような意見があったことも紹介されています。
「障害者雇用ビジネスの利用拡大の背景には、近年の法定雇用率の大幅な引上げがあることから、制度見直しを求める意見もあった。」
背景にあるこれらの要因に関しても、しっかりと対応策を検討しつつ、
障害者雇用ビジネスのあり方(利用のあり方)について、引き続き議論が深められ、
働く障害者の真の活躍につながる施策が打ち出されることを期待したいと思います。

土屋喜久(つちや・よしひさ)
株式会社FVP 障害者雇用アドバイザー
一般社団法人障害者雇用企業支援協会(SACEC) 顧問
学校法人ものつくり大学 理事長
1962年生まれ、群馬県出身。
厚生労働省において、障害者雇用対策課長、職業安定局長、厚生労働審議官を務め、障害者の雇用促進に深く関わった。
同省を退職後、2022年5月、SACECの顧問に就任。
2023年10月、FVP・執行役員に就任。
2025年4月、同社の障害者雇用アドバイザーとなる。
これからも障害者雇用へのかかわりを深めていきたいと考えている。
株式会社FVP 障害者雇用アドバイザー
一般社団法人障害者雇用企業支援協会(SACEC) 顧問
学校法人ものつくり大学 理事長
1962年生まれ、群馬県出身。
厚生労働省において、障害者雇用対策課長、職業安定局長、厚生労働審議官を務め、障害者の雇用促進に深く関わった。
同省を退職後、2022年5月、SACECの顧問に就任。
2023年10月、FVP・執行役員に就任。
2025年4月、同社の障害者雇用アドバイザーとなる。
これからも障害者雇用へのかかわりを深めていきたいと考えている。
