会社探訪 〜土屋喜久が訪ねた障害者雇用の最前線〜

「現代の名工」の「第22部門」に期待する

※この文章は、一般社団法人日本職業協会の会員誌「清流」(2026年新春号)に寄稿したものです。明けましておめでとうございます。
本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

少し古い話になってしまいますが、11月は「人材開発促進月間」。昨年も様々な行事が展開されました。
なかでも毎年報道されるのは「卓越した技能者」(現代の名工)の表彰です。昨年も、卓越した技能を持ち、その道で第一人者と目されている技能者142名の方々が表彰の栄誉に浴されました。
この表彰は、都道府県や全国的な団体などからの推薦を受けて、部門ごとに対象者が決定されますが、皆さん、3年前から「第22部門」が新設されたことをご存じでしょうか?

この第22部門は「障害がある技能者」を対象とした部門です。新設当時の厚生労働省の発表資料には、その趣旨が次のように記載されています。

「今後、障害者雇用の取組がより一層求められていく中、優秀な卓越した技能を持つ障害者を対象に、新たに障害者部門を設定することにより、他の障害を持つ技能者の目標となる技能の研鑽を促すとともに、模範となる技能者像となることによって、活き活きと働ける就労環境づくりに資することで、障害者雇用の質をより一層高めることを目的とする。」

この趣旨に沿って、これまで3回の表彰において、次の7名の方々が選ばれています。
 ・紳士服仕立職(上肢障害)
 ・歯科技工士(聴覚障害)
 ・ソフトウェア開発技術者(視覚障害)
 ・印判師(聴覚障害)
 ・プリント基板組立工(聴覚障害)
 ・歯科技工士(聴覚障害)
 ・コーヒー豆焙煎工(ADHD/注意欠陥多動性障害)
回を重ねるごとに、多様な職種、多様な障害種別に広がりを見せているように感じます。

今後の障害者雇用のあり方をめぐって、厚生労働省の研究会において雇用の「質」の向上に向けた議論がなされている今、上記の趣旨にある「雇用の質をより一層高める」観点からも、障害者雇用を進める企業に関心を持っていただき、これからも多くの皆さんが「現代の名工」として表彰を受けられることを期待したいと思います。

土屋喜久(つちや・よしひさ)

株式会社FVP 障害者雇用アドバイザー
一般社団法人障害者雇用企業支援協会(SACEC) 顧問
学校法人ものつくり大学 理事長

1962年生まれ、群馬県出身。
厚生労働省において、障害者雇用対策課長、職業安定局長、厚生労働審議官を務め、障害者の雇用促進に深く関わった。
同省を退職後、2022年5月、SACECの顧問に就任。
2023年10月、FVP・執行役員に就任。
2025年4月、同社の障害者雇用アドバイザーとなる。
これからも障害者雇用へのかかわりを深めていきたいと考えている。