東京海上ビジネスサポート株式会社(九州支社)(福岡市)
皆さん、こんにちは。
今回の訪問は、東京海上ビジネスサポート株式会社の九州支社です。
長崎で社会福祉法人南高愛隣会を訪問した翌々日(6月22日)、福岡に向かいました。鉄道好きの私としては、長崎まで来て、昨年9月に開業したばかりの西九州新幹線「かもめ」(長崎~武雄温泉)に、乗らないわけにはいきません。
長崎駅からわずか30分ほどで、武雄温泉駅に到着。在来線の特急「リレーかもめ」に乗り継いで、博多駅へ。駅からほど近い同支社を訪問し、支社長の門松信也さんにご対応いただきました。
東京海上ビジネスサポート(TMBS)の九州支社がたどってきた経緯は、やや複雑です。
TMBSは、東京海上日動火災保険株式会社を親会社とする特例子会社として、2010年に設立。その翌年に、グループ内の別の2社を併合しています。九州支社はもともと、合併前の「東京海上日動オペレーションズ」(物流関係)の支社でした。
物流などの業務のみだった九州支社でも、2014年から障害者雇用に取り組むことに。この時、障害を持つ社員(チャレンジサポーター/CS)が担当することとなったのは、グループ他社の「東京海上日動事務アウトソーシング」(TMO)が担っていた事務作業でした。
このため、TMOとの協働モデルによって業務を円滑に移行させることとし、業務はTMOからの再委託として、支援員(ジョブサポーター/JS)には、TMOからの出向社員を起用。CS一期生5名による業務がスタートしました。
その2年後からは、JSを独自に採用。約6年をかけて、昨年、JSはすべて独自採用の社員となり、TMOとの協働モデルも解消するに至りました。
既にある組織を受け皿として、グループ他社から時間をかけて業務を移行し、最終的に自立させる。障害者雇用を進める際に参考となる、示唆に富む事例ではないでしょうか。
九州支社は、現在、総勢30名。このうちCSは14名で、精神障害者が約85%。この比率は、TMBS全体(約55%)や、大阪支社(約78%)よりも高くなっています。採用の面では、地域の就労移行支援事業者や障害者就業・生活支援センターからの相談が多く、日頃からこれらの機関との連携を重視しているとのことでした。
九州支社の主な業務には、官公庁からの照会に対して回答書(照会対象者の契約の有無、契約内容等)を作成し、送付(郵送)する業務などがあります。オフィスでは、CSの皆さんがパソコンに神経を集中させて作業を進めていて、本社や大阪支社とも違う静かさの中、ほどよい緊張感が感じられます。皆さんのお話から、個人の機微な情報を扱うこの仕事に、誇りと自信をもって取り組んでおられることが実感できました。
門松さんにご説明いただいた資料には、「包括部門とCSチームの両輪」という記載が。九州支社の「包括部門」では、東京海上日動の九州エリアサービス部と連携して、物流、印刷、文具・備品の管理などの業務を担当しています。
一方で、包括部門の社員の平均年齢は、51歳とのこと。今後、退職していく社員に代わって、CSの皆さんが包括部門の業務も担うという可能性は、十分にありそうです。
また、門松さんのお話では、CSの皆さんが働いているオフィス(福岡祇園第一生命ビル2階)は、既に手狭となっており、今後の増員を想定すると、早晩、移転を考える必要も出てくるとのこと。その際には、インクルージョンの観点からも、東京海上日動の九州エリアサービス部があり、同社の九州の「本丸」とも言うべき、福岡東京海上日動ビルに「進出」することを期待したいものです。
大きな可能性を秘めている九州支社の今後の発展を、楽しみに見守りたいと思います。
*掲載した資料や写真は、各社からご提供いただいたものです。
*文中の「ショウガイ」の標記については、引用部分などを除き、法令と同様の「障害」としています。
今回の訪問は、東京海上ビジネスサポート株式会社の九州支社です。
長崎で社会福祉法人南高愛隣会を訪問した翌々日(6月22日)、福岡に向かいました。鉄道好きの私としては、長崎まで来て、昨年9月に開業したばかりの西九州新幹線「かもめ」(長崎~武雄温泉)に、乗らないわけにはいきません。
長崎駅からわずか30分ほどで、武雄温泉駅に到着。在来線の特急「リレーかもめ」に乗り継いで、博多駅へ。駅からほど近い同支社を訪問し、支社長の門松信也さんにご対応いただきました。
《グループ他社から、時間をかけて業務を移行》
TMBSは、東京海上日動火災保険株式会社を親会社とする特例子会社として、2010年に設立。その翌年に、グループ内の別の2社を併合しています。九州支社はもともと、合併前の「東京海上日動オペレーションズ」(物流関係)の支社でした。
物流などの業務のみだった九州支社でも、2014年から障害者雇用に取り組むことに。この時、障害を持つ社員(チャレンジサポーター/CS)が担当することとなったのは、グループ他社の「東京海上日動事務アウトソーシング」(TMO)が担っていた事務作業でした。
このため、TMOとの協働モデルによって業務を円滑に移行させることとし、業務はTMOからの再委託として、支援員(ジョブサポーター/JS)には、TMOからの出向社員を起用。CS一期生5名による業務がスタートしました。
その2年後からは、JSを独自に採用。約6年をかけて、昨年、JSはすべて独自採用の社員となり、TMOとの協働モデルも解消するに至りました。
既にある組織を受け皿として、グループ他社から時間をかけて業務を移行し、最終的に自立させる。障害者雇用を進める際に参考となる、示唆に富む事例ではないでしょうか。
《オフィスには、ほどよい緊張感が》
九州支社の主な業務には、官公庁からの照会に対して回答書(照会対象者の契約の有無、契約内容等)を作成し、送付(郵送)する業務などがあります。オフィスでは、CSの皆さんがパソコンに神経を集中させて作業を進めていて、本社や大阪支社とも違う静かさの中、ほどよい緊張感が感じられます。皆さんのお話から、個人の機微な情報を扱うこの仕事に、誇りと自信をもって取り組んでおられることが実感できました。
《雇用と職域の拡大の可能性は、支社の中にも?》
一方で、包括部門の社員の平均年齢は、51歳とのこと。今後、退職していく社員に代わって、CSの皆さんが包括部門の業務も担うという可能性は、十分にありそうです。
また、門松さんのお話では、CSの皆さんが働いているオフィス(福岡祇園第一生命ビル2階)は、既に手狭となっており、今後の増員を想定すると、早晩、移転を考える必要も出てくるとのこと。その際には、インクルージョンの観点からも、東京海上日動の九州エリアサービス部があり、同社の九州の「本丸」とも言うべき、福岡東京海上日動ビルに「進出」することを期待したいものです。
大きな可能性を秘めている九州支社の今後の発展を、楽しみに見守りたいと思います。
《自社PR》
東京海上グループは、「障がい者への就業機会を広く提供し、多様な人材がいきいきと働いている企業グループへ」というビジョンを掲げ、その実現に向けて東京海上ビジネスサポートを設立しました。経営理念(①支援される立場から支援する組織へ、②夢と誇りを持てる会社へ、③活躍できる機会の拡大へ)のもと、やりがいを持っていきいきと働ける環境づくりに力を入れ、仕事を通じて一人ひとりが成長できる会社を目指しています。
《会社概要》
社名 | 東京海上ビジネスサポート株式会社 |
主な業種 | 書類の作成・発送、データ入力、販促品の販売、印刷、社内物流等 |
従業員数 | 397名 |
うち障害者社員の人数 | 242名 |
障害の内訳 | 身体:3名、知的:100名、精神:139人 |
URL | |
親会社の社名 | 東京海上ホールディングス株式会社 |
主な業種 | 損害保険 |
親会社のHPに障害者雇用に関する記述がある場合には、その箇所のURL | https://www.tokiomarinehd.com/sustainability/management/diversity.html |
*文中の「ショウガイ」の標記については、引用部分などを除き、法令と同様の「障害」としています。
土屋喜久(つちや・よしひさ)
株式会社FVP 執行役員
一般社団法人障害者雇用企業支援協会(SACEC) 顧問
学校法人ものつくり大学 理事長
1962年生まれ、群馬県出身。
厚生労働省において、障害者雇用対策課長、職業安定局長、厚生労働審議官を務め、障害者の雇用促進に深く関わった。
同省を退職後、2022年5月、SACECの顧問に就任。
本年10月、FVP・執行役員となる。
これからも障害者雇用へのかかわりを深めていきたいと考えている。