株式会社エランクルール(長野県松本市)
皆さん、こんにちは。
今回の訪問は、株式会社エランクルールです。
10月から株式会社ハートフル松本FVPに執行役員として関わることとなり、先日、ハローワーク松本に池上仁所長を訪ね、ご挨拶させていただきました。池上さんとは、かつて長野県庁(社会部職業安定課)で一緒に仕事をしたご縁があります。
久しぶりに再会した池上さんから、ハローワーク松本の管内で、8月に新たに特例子会社が認定されたとの情報をいただきました。そこで、ハートフル松本FVPで就労移行支援事業に携わっている社員と一緒に、認定を受けたエランクルール(松本市)を訪問。取締役の井上智美さんに、ご対応いただきました。
エランクルールは「生まれたばかり」の特例子会社。長野県内では、6社目の認定となりました。
親会社の株式会社エランは、松本市に本社がある東証プライム市場上場の企業です。展開している主力のサービスに、「手ぶらで入退院ができる日用品レンタルサービス」(CSセット)があります。このサービスは、全国の2000を超える病院などで提供され、長野県内でも約4割の病院で提供しているそうです。
実は、昨年、私の父が骨折で前橋市内の病院に入院した際に、CSセットのお世話になりました。突然の入院でしたので、必要な衣類やタオルをレンタルでき、歯ブラシ、コップ、箸なども利用できるサービスは、文字通り「手ぶらで入退院」となって、本当に助かりました。その時、利用申込書に記載された会社の所在地を見て、「松本にこういう会社があるんだ」と印象に残っていたのです。
CSセットは、エランから委託を受けた関連会社が、各病院内に駐在員を配置して提供しているとのこと。ひとつの病院に配置される駐在員は、およそ3~10名程度で、主に次のような業務に従事しています。
・患者や家族に対する、サービスの説明・受付
・衣類、タオルなどの配布、備品の補充
・使用済みの衣類・タオルの回収
・退院後の、病室内の清掃
エランクルールは、他の関連会社と同様にエランからの委託を受けて、この院内駐在員の業務を主な事業としていくとのこと。既に愛知県内の病院で、駐在員としての勤務が開始されているとのお話でした。
なぜ、従業員数が約550名のエランが、特例子会社の設立に至ったのか。
井上さんは、かつて、勤めていた会社で障害者雇用を推進した経験をお持ちの方。その井上さんが転職したエランでは、これまで一定の取組はあったものの、障害者を戦力として十分に活用するまでには至っていなかったようです。
そのような中で、人手不足が厳しくなり、院内駐在員の確保もままならない状況に。会社として、人手不足に対応していくためにも、本格的に障害者雇用に取り組むべきではないかと考え、進めてきたとのことでした。
経験に裏打ちされた井上さんの障害者雇用に対する思いが、推進力となっていると拝察いたしました。
エランクルールの採用関係資料を拝見すると、「障害というハンデキャップを負っている方々にも、就業を通じて社会の「困った」を解消する一助を担ってもらいたい」との考え方のもと、次の方針を掲げています。
・障害特性にあわせた就労機会の創造
・地域的制約のない就労機会の実現
・長く、安定した就労環境の整備
特例子会社として認定された8月の時点で、障害を持つ従業員は10名(身体障害者3名、知的障害者2名、精神障害者5名)。井上さんからは、今後、障害を持つ従業員を40名程度まで増やそうと考えているとのお話がありました。
特例子会社認定に関するエランのプレスリリース資料には、「法定雇用率の充足に留まらず、障がいのある方が多種多様な業務において能力を十分に発揮して働くことができる雇用機会を創出する」との方針も示されています。障害者が戦力になるとの確信に基づく方針であるとお見受けしました。
ところで、駐在員は病院の中で業務に携わることになりますが、障害者が院内で働くことについて、病院側の受け止めは、どのようになっているのでしょうか。
井上さんにお伺いすると、「病院によって様々で、受け入れに難色を示されたケースもある」とのこと。残念なことと思いつつ、逆に、エランクルールが配置する院内駐在員は、病院における障害者雇用の進展に、大きな刺激を与えるのではないかと思いました。
前述のプレスリリース資料には、「今後、病院から院内業務の一部を受託するほか、病院側の障害者雇用のサポートも視野に入れ、雇用機会の創造に努めてまいります。」と記載されています。今後の展開を期待したいと思います。
エランクルールは、現在、東海地方を中心に院内駐在員の配置を進めており、長野県内での展開は、これから検討とのこと。この日は、県内向けのエランの物流倉庫で、エランクルールの従業員がピッキング作業などに携わっている様子を拝見しました。
特例子会社として認定されたばかりのエランクルールが大きく成長し、従業員の皆さんが、人手不足を克服する活躍をされることを、心よりお祈りしています。
*掲載した資料や写真は、各社からご提供いただいたものです。
*文中の「ショウガイ」の標記については、引用部分などを除き、法令と同様の「障害」としています。
今回の訪問は、株式会社エランクルールです。
10月から株式会社ハートフル松本FVPに執行役員として関わることとなり、先日、ハローワーク松本に池上仁所長を訪ね、ご挨拶させていただきました。池上さんとは、かつて長野県庁(社会部職業安定課)で一緒に仕事をしたご縁があります。
久しぶりに再会した池上さんから、ハローワーク松本の管内で、8月に新たに特例子会社が認定されたとの情報をいただきました。そこで、ハートフル松本FVPで就労移行支援事業に携わっている社員と一緒に、認定を受けたエランクルール(松本市)を訪問。取締役の井上智美さんに、ご対応いただきました。
《主力のサービスは「CSセット」》
親会社の株式会社エランは、松本市に本社がある東証プライム市場上場の企業です。展開している主力のサービスに、「手ぶらで入退院ができる日用品レンタルサービス」(CSセット)があります。このサービスは、全国の2000を超える病院などで提供され、長野県内でも約4割の病院で提供しているそうです。
実は、昨年、私の父が骨折で前橋市内の病院に入院した際に、CSセットのお世話になりました。突然の入院でしたので、必要な衣類やタオルをレンタルでき、歯ブラシ、コップ、箸なども利用できるサービスは、文字通り「手ぶらで入退院」となって、本当に助かりました。その時、利用申込書に記載された会社の所在地を見て、「松本にこういう会社があるんだ」と印象に残っていたのです。
《病院内に駐在し、業務を担う》
・患者や家族に対する、サービスの説明・受付
・衣類、タオルなどの配布、備品の補充
・使用済みの衣類・タオルの回収
・退院後の、病室内の清掃
エランクルールは、他の関連会社と同様にエランからの委託を受けて、この院内駐在員の業務を主な事業としていくとのこと。既に愛知県内の病院で、駐在員としての勤務が開始されているとのお話でした。
《障害者雇用を進め、人手不足に対応》
井上さんは、かつて、勤めていた会社で障害者雇用を推進した経験をお持ちの方。その井上さんが転職したエランでは、これまで一定の取組はあったものの、障害者を戦力として十分に活用するまでには至っていなかったようです。
そのような中で、人手不足が厳しくなり、院内駐在員の確保もままならない状況に。会社として、人手不足に対応していくためにも、本格的に障害者雇用に取り組むべきではないかと考え、進めてきたとのことでした。
経験に裏打ちされた井上さんの障害者雇用に対する思いが、推進力となっていると拝察いたしました。
《「法定雇用率の充足に留まらず」》
・障害特性にあわせた就労機会の創造
・地域的制約のない就労機会の実現
・長く、安定した就労環境の整備
特例子会社として認定された8月の時点で、障害を持つ従業員は10名(身体障害者3名、知的障害者2名、精神障害者5名)。井上さんからは、今後、障害を持つ従業員を40名程度まで増やそうと考えているとのお話がありました。
特例子会社認定に関するエランのプレスリリース資料には、「法定雇用率の充足に留まらず、障がいのある方が多種多様な業務において能力を十分に発揮して働くことができる雇用機会を創出する」との方針も示されています。障害者が戦力になるとの確信に基づく方針であるとお見受けしました。
《受け入れる病院側の受け止めは》
井上さんにお伺いすると、「病院によって様々で、受け入れに難色を示されたケースもある」とのこと。残念なことと思いつつ、逆に、エランクルールが配置する院内駐在員は、病院における障害者雇用の進展に、大きな刺激を与えるのではないかと思いました。
前述のプレスリリース資料には、「今後、病院から院内業務の一部を受託するほか、病院側の障害者雇用のサポートも視野に入れ、雇用機会の創造に努めてまいります。」と記載されています。今後の展開を期待したいと思います。
エランクルールは、現在、東海地方を中心に院内駐在員の配置を進めており、長野県内での展開は、これから検討とのこと。この日は、県内向けのエランの物流倉庫で、エランクルールの従業員がピッキング作業などに携わっている様子を拝見しました。
特例子会社として認定されたばかりのエランクルールが大きく成長し、従業員の皆さんが、人手不足を克服する活躍をされることを、心よりお祈りしています。
《自社PR》
エランの目指している姿は、「世の中の困った」を解消し、困っている人を笑顔に、笑顔の人はもっと笑顔に。人と人との関係を大事にし、笑顔あふれる社会を創造していくことです。
基幹事業である「CSセット」は、入院中の「困った」を解消するビジネスです。
また、これから発展させていくビジネスは入院前・退院後などの様々なステージでの「困った」を解決するものです。
そのような多様化するビジネスシーンにおいて、障害というハンディキャップを負っている方々にも、就業を通じて社会の「困った」を解消する一助を担ってもらいたいと考えています。
《会社概要》
社名 | 株式会社エランクルール |
主な業種 | 生活関連サービス業 |
従業員数 | 35 名 |
うち障害者社員の人数 | 10 名 |
障害の内訳 | 身体3人、知的2人、精神5人 |
URL | |
親会社の社名 | 株式会社エラン |
主な業種 | 生活関連サービス業 |
親会社のHPに障害者雇用に関する記述がある場合には、その箇所のURL |
*文中の「ショウガイ」の標記については、引用部分などを除き、法令と同様の「障害」としています。
土屋喜久(つちや・よしひさ)
株式会社FVP 執行役員
一般社団法人障害者雇用企業支援協会(SACEC) 顧問
学校法人ものつくり大学 顧問
1962年生まれ、群馬県出身。
厚生労働省において、障害者雇用対策課長、職業安定局長、厚生労働審議官を務め、障害者の雇用促進に深く関わった。
同省を退職後、2022年5月、SACECの顧問に就任。
本年10月、FVP・執行役員となる。
これからも障害者雇用へのかかわりを深めていきたいと考えている。