株式会社ACRO様
  • 業務分析・職務設計
ピンチをチャンスに。障害者雇用の新たな体制づくりへ前進

コロナ禍で揺れる現場。優先順位を示してもらい、
社内を巻きこんで短期間に新体制を整えることができました

株式会社ACRO General Manager 岩永智史様

コロナ禍、障害者雇用の課題が一気に顕在化

―弊社にお声がけいただいたときの状況を伺えますか?

岩永様 ACROは、ライフスタイルブランド「THREE」をはじめとする化粧品等の製造・販売を行っており、全国百貨店等の店舗チャネルを主力として事業展開をしています。在籍する10名の障害者メンバーは本社HR Div.内のビジネスサポートチームに所属し、各ブランドから業務依頼を受けて、商品サンプルのアッセンブリ作業や各部門のデータ入力・軽作業等を主に担っています。 
障害者の採用・定着や雇用管理については、専任担当者が一手に担いメンバーも安定的に働けていたので、会社としての問題意識は特に感じていませんでした。 
ところが、コロナ禍を契機に経営環境が一変したこと、加えて専任担当者が退職したことにより、課題が一機に顕在化しました。 

企業理念は、”とぎすまされた感性で「時代の美」を創る”。
その象徴である「THREE」「Amplitude」「ITRIM」「FIVEISM×THREE」の4ブランドを運営するACRO様

―課題とは、どのようなものでしょうか?

岩永様 コロナ禍の中、百貨店の休業・時短営業、本社員のテレワーク化等、急激に経営環境が変化する中で、障害者メンバーがこれまで行っていた仕事が大幅に減少しました。 
同時に、専任担当者が退職したことにより、良くも悪くも属人的業務となっていた障害者スタッフの採用・定着や雇用管理について、誰も対応するノウハウを持ち合わせない状態に陥ってしまいました。とにかく、障害者スタッフの新たな仕事の創造、雇用管理体制の再構築が喫緊課題として浮上したのです。 

課題と向き合う中で、前任担当者がこれまで障害者の採用・育成を丁寧に進め、形成してくれたこのチームの力を会社の成果に結びつける余地はまだまだあるのではないか? 同時に、再度、この領域に長けた専任担当者を採用し、障害者をマネジメントすることが本来的な姿なのだろうか? という疑問を抱き始めました。 
一方で、お恥ずかしいことに、私自身、10名の障害者メンバーがどんな性格なのか、何が得意・苦手なのか、漠然としか把握できていない状態。障害特性についても、支援機関とどんな関係を作ってきたのかもわかりません。一体、どんな仕事を用意すべきか、わからない状態でした。コロナ禍、そして専任担当者の退職も重なる中、障害者メンバーは不安定となり、最悪の場合、離職となる恐れもありました。 

ACRO様のメインブランド「THREE」。商品サンプルのアッセンブリ作業などを行っていたが、コロナ禍で業務が減少した。

―それは大変な状況でしたね。

岩永様 さらに、タイミングの悪いことに法定雇用率が2.3%となり、社会的責任を果たすためには、障害者メンバーを採用する必要性も生じていました。 
 
法定雇用率の達成はもちろん重要です。しかし、俯瞰的に状況を見つめなおしたときに、在籍する障害者メンバーが会社へ貢献できるように彼らの力をどう活かしていくのか。そのために、どのような仕事を彼らに担ってもらうのか。また、業務推進に向けて、どのような運営ポリシーを持ち、体制を構築するのか。これらが本質的課題だと改めて強く認識しました。 

パッケージ売りではない、当社の状況を理解し並走しようとするFVPの姿勢が決め手

―弊社にお声がけいただいたきっかけは何だったのでしょうか?

岩永様 本質的課題を認識したものの、社内の情報・人材不足は否めませんでした。リスタートを切るに際しては、外部の専門知識を持つプロの助言を受容しながら、せっかくなのでACROらしい課題解決を探求したい、と考えました。

とはいえ、どのような外部パートナーを選べばよいかは全く見当がつきません。言い方は悪いのですが、とりあえず障害者雇用支援サービスを提供する企業3社に相談しました。  
ネット検索で「障害者 業務切出し」「障害者 指導」とか、よく覚えていませんが、検索する中で出てきた内の1社がFVPでした(笑)。 

株式会社ACRO General Manager 岩永智史様

今だから申し上げますと、相談した1社には断られました。状況説明すると、難易度が高くやりきれない、とハッキリ(笑)。もう1社は指導員常駐と採用支援・業務切出しの提案でした。悪くないと思いましたが自社パッケージサービスを提供するという印象で、当社の課題にそのままフィットする感覚が持てなかった。  
  
その点、FVPさんはパッケージ売りのような提案ではない。当社の状況をよく聞いてくださった。 

―パッケージじゃない提案は、予算化するのが難しいとおっしゃる企業も多いのですが、社内決裁においてご苦労されませんでしたか?

岩永様 コロナ禍の中、障害者メンバーも不安定な状況にあった当社としては、むしろ期限を決めて、一緒にゴール設定し、そこに至るアクションを柔軟に並走してもらえる方がむしろありがたかった状況です。 
 
同時に、表面的な法定雇用率達成ではなく、今いる10人の障害者メンバーたちにどのように会社に貢献してもらうかという視点で体制整備する必要性については、経営陣も賛同してくれたことも後押しとなりました。 

コンサルタントに並走頂く中で、抱いていた疑問が確信に変わった

―実際に弊社のサービスをご利用になって、どのような印象をお持ちになりましたか?

岩永様 事前打ち合わせで、当社の事情をじっくり聴いて頂き、よく理解してもらえたこと。これに尽きます。 
そして、何度も繰り返しになりますが、パッケージやシステムに沿った支援ではなく、当社の現状や本質的課題を捉え、こちらのまだ言語化されていないメンタリティを踏まえたオーダーメイド型の支援をご提供くださったと感じています。 

ビジネスサポートチームの様子

短期間にある程度の方向性を定めたかったので、いくつかの動きをコンサルタントの方と役割分担しながら進めました。在籍メンバーとの面談、業務切出しアンケート、ターゲット部門に対するヒアリング等を進めるうちに、自分の中で抱いていた疑問が確信に変わりました。 
 
障害者メンバーの活かし方は様々です。健常者でこの領域に長けた方に任せることは一つの選択肢。私の想いとしては、障害のある彼ら自身の中にリーダーシップをとれる人が必ずいるはずと考えました。各部からオーダーのあった仕事を体系化し、お互いに障害特性を理解し合い、役割分担までできる。退職した前任者が採用したメンバーを知れば知るほど、このメンバーであれば、真の意味で自主自立のチームとして会社に貢献できる在り方を目指せる、と。 
 
面談の中で、障害者メンバー自身も「会社へ貢献し、成長したい」と強く想っていることも知ることができました。そして、今まで仕事を依頼してくれた社員からもリモートワーク環境下であっても「もっと彼らの力を貸してほしい」と、大きな期待を寄せてくれました。 

業務切出しを進める中では、ブランド横断でセールスアドミニストレーターに集まってもらい、オンラインミーティングを行ったことが印象的でした。同じ仕事でも、ブランドごとにやり方が異なる。フォームがバラバラで、非効率。こうしたことを障害者メンバーの業務として横串で切出す。同時に業務改善にも直結する。このビジネスサポートチームの存在が会社へ貢献できる1つの形だと感じました。

お客様にプレゼントするエコバッグを折り、リボンを結ぶスタッフ。
ロゴの入った部分が正面にくるよう丁寧に折り畳む。リボンにもロゴがあしらわれ、よれないよう結ぶ。

ご支援くださったコンサルタントは、現状把握、仮説実現に向けた課題整理のみならず、従来のやり方から変えることに私自身が迷った際、「今が変化を起こすチャンス」と勇気づけてくれました。また、最新の障害者雇用情勢等の提供を含め、私が認識した本質課題の解決を後押しするに十分な情報を提供頂いた結果、短期間で方針を定めることができました。経営層に対しても、今後の障害者雇用の位置づけとマネジメントポリシー・運営体制の全体像を報告し、今後の方向性を共通認識として形成できました。

1枚1枚、丁寧に折り目をつける。

―他社サービスと比べて、どのような点に違いを感じられたでしょうか。

岩永様 プロジェクト期間は一緒に考えて、並走してくれる感覚がありました。まるで、当社の障害者雇用担当になってくれたような感覚(笑)。社内に知見ある人材がいなかったからこそ、プロフェッショナルの存在に本当に助けられました。

現状の形がベストではないかもしれない。理想を追求し続ける。

―今回、障害者雇用の改善を進めたことで得られた成果についてお聞かせください。

岩永様 専任担当者に依存した状況から脱し、会社としての運営方針や体制が定まってきました。ビジネスポートチームの認知が社内に広がり、「こんな仕事できる?」と仕事の依頼も増えつつあります。

障害者メンバーの中から複数のリーダーを任命したことで、ビジネスサポートチームの自主的な取り組みも活発になりつつあります。最近では、成果を上げ、お互いに気持ちよく働ける職場に向けた「行動規範」をリーダーからの提案で制定。自主自立のチーム運営がスタートした、と実感しています。 
 
当社では、リモートワーク体制をコロナ禍の一過性のものとせず、働き方の軸に据えると共にオフィスの大幅縮小とレイアウト変更を予定しています。これを機に、不定期に出社する社員の円滑な業務遂行を支援するため、郵便・宅配便・清掃対応等のインフラ業務をチームとして担う意義を彼ら自身、今まで以上に誇りと責任を抱いてくれています。 

―今後の展望についてお聞かせいただけますでしょうか。

岩永様 当面は、障害者メンバーが毎日の出社と仕事を通じて、会社に貢献し多くの社員から感謝を集める、そして自分自身が仕事を通じて成長できているという実感をより多く感じてもらえるチームにすることが目標です。

障害有無という枠組みを超え、ボーダレスな関係性の中で、相互に成長し合える職場が将来的に目指す理想だと考えています。 
 
その実現のためには、もしかすると障害者メンバーが集うビジネスサポートチームという現在の形がベストではないかもしれない。障害者メンバーの成長段階に応じて、今後は各部門へ直接配置をし、彼らにとって更なるキャリアアップにつながる機会も提供する計画です。健常者も障害者も共に働くことが本来的に自然な姿。きれいごとで終わらせないように実践していきたいと考えています。 

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