障害者雇用Q&A

Q
【聴覚障害】聴覚障害のある社員への配慮
聴覚障害者の方に働いてもらうため、担当者に手話通訳の研修をさせるなど環境を整えたのですが、これまでの2人とも数カ月で退職してしまいました。何か対応に問題があったのでしょうか。せっかく機器も揃えたので、また聴覚障害の方を採用しても、こちらの対応に問題があるようでしたら、同じことの繰り返しになってしまいます。

A
聴覚障害といっても、その聴こえは様々。手話や設備だけでは万全でなく、情報の伝達ができているかを確認する「気遣い」を。

まず、ひとくちに聴覚障害といってもひとりひとり、その聴こえは違います。まったく聞こえない人、大声なら聞こえる人、高音や低音だけ聞こえる人などさまざまです。ろう学校などで相手の話していることを読み取り、自分も発話する訓練を受けた人なら、手話がなくても対話がある程度可能です。一方、成人してから事故や病気などで聴覚障害になった人の中には手話がわからない人もいます。手話や設備の準備はすばらしいことですが、「それだけで万全」というわけではないのです。
 
注意したいのがコミュニケーションです。聴覚障害者は「聴こえないというだけで、あとはほかの人と同じ」と誤解されがちで、そのため疎外感をもつことが多いといいます。先天性の聴覚障害の人にとって、「てにをは」などの助詞や「そして」「だから」などの接続詞や、おもに口語で使われるボキャブラリーや文章(略語やあいまいな表現など)は理解しにくいものです。メールなら「読めるからわかるだろう」と思っていても、内容によっては齟齬が生じることもあるかもしれません。職場も含め、社会の情報量は音声によるものが圧倒的に多く、聴覚障害者は「自分だけ情報を知らされていないのではないか」など不安になりがちです。こうした小さなズレや誤解が積み重なることで職場が辛く感じられ、退職につながってしまうのかもしれません。
 
資格や設備以上に大切なことは「気遣い」です。朝礼や会議の際に、情報の伝達ができているかを気に掛けるなど、ちょっとしたことで結構です。
 
聴覚障害に限らずですが、他の社員が当たり前に受け取っている情報を、障害のある社員も同じように受け取れているかは、障害者雇用を進めていくうえで大切な視点です。

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