株式会社 八芳園様
  • 業務分析・職務設計
  • 採用支援サービス
  • 雇用管理体制構築支援
多様性が価値を生むことを
戦略的な障害者採用により実感

経営環境の激変、組織の再建、多様な人材の活用、戦略的な障害者雇用...点と点がつながり線になった

経営管理部 マネージャー 川﨑 友希 様

組織体制のダイナミックな変更を迫られたコロナ禍で、障害者の積極採用を決断。
ホームページの企業事例を見て、「これだ」と思いました。

弊社にお声がけいただいたときの状況をうかがえますか?

コロナ禍で婚礼需要が激減するという非常に厳しい経営環境の中、業務のスリム化を図るため、清掃業務を内製化することになりました。各セクションから社員が集められ、混成チームでの清掃を始めた頃、それまでなんとなく考えていた障害者の活躍というテーマが結びつき、障害者をメンバーに加えた清掃チームを作ろうと思ったことが、貴社に問い合わせをしたきっかけです。

都内でも有数の緑豊かな結婚式場として名高い八芳園

障害者雇用についてはどんな状況でしたか?

それまでは、雇用率達成を目的に、不足数に応じて採用してその方に合わせた仕事を提供しているという状況でした。支援機関や特別支援学校等とのつながりの中で、欠員が生じたら声をかけて紹介してもらう方法で雇用率を満たすことはできていたのですが、戦略的な採用とは言えませんでした。雇用管理についても、配属部署で働くスタッフ任せ、属人的なマネジメントという状況で、精神障害の方など定着率はよくありませんでした。 
当時、障害者雇用は総務が担当していて人事案件ではなかったんです。人を財産と考えいかに活躍してもらうかという視点を大切に採用・育成に取り組んできた会社としてそれでいいのか、と疑問も感じました。いろいろ調べるうちに、FVPのホームページで障害者の清掃チームが活躍している企業の事例を見つけ、これだ、と思ったのです。経営環境の激変、組織の再編、戦略的な障害者雇用、多様な人材の活用...点と点がつながって線になった瞬間でした。 

今までの採用方法ではチームは作れない。
納得して伴走いただいた採用プロセスでは、多くの気づきがありました。

アイデアを実現するにあたって、課題は、どのようなものでしたでしょうか?

役員に相談すると、「新しいやり方でやってみてよ!」と即答だったので、わからないながらも進めることにしました。身体障害、知的障害、精神障害それぞれの障害をお持ちの方の雇用経験はあったものの、募集職種を先に決め、適性のある方を複数採用するのは初めてのことです。社内に知見がありませんでした。以前から採用していた障害者スタッフの中には清掃チームで働く人もいましたが、人によって教え方や求めるレベルが異なり、統率がとれていない状態です。障害種別の基本的な特性理解も不足していたので、コミュニケーションで苦労しているスタッフもいました。 
 新たに障害者を迎え入れるには、基本的な知識のインプットとともに、採用・定着のポイントについてノウハウを持っている専門サービスを利用して進める必要があると考えました。 

八芳園プロデュース事業部 事業推進室 アシスタントマネージャー 門林 裕之 様 

弊社を選んでくださった理由は何だったのでしょうか?

複数社からお話を聞きました。他社は「採用支援」を中心に、雇用率を満たすためのソリューション提供という文脈でのご案内が多かったように思います。採用後は、地域の支援機関と連携するのが通常の流れだと言われるのですが、そのやり方で過去にうまくいかなかったケースもありましたので、不安が残りました。雇用率達成というより、採用後、イメージした清掃チームを作れるのか、問題なく回せるようになるのか、そのためにどんなサポートをいただけるのかを知りたかったのです。FVPさんはそうした私どもの意向を理解し、ご説明くださいました。採用後のゴールイメージを共有し、伴走型のサポートを基本としているというサービス内容が当社のニーズに合っていたということだと思います。

実際に弊社サービスをご利用になって、どのような印象をお持ちになりましたか?

一連の流れを経験させていただいて、通常行っている新卒・中途採用と同じなんだなと感じました。考えてみれば、良い人を採用するのに健常者も障害者もないですよね。 
対象者、支援機関それぞれの説明会、実習、面接・・と手間はかかりますが、むしろ手間をかけないと良い採用はできないと考えていましたので、障害者も同じなんだと納得しました。 

説明会や実習で、障害のある方と一緒に時間を過ごしたことで、一人ひとりの個性や障害特性についてよく知ることができました。毎日振り返りを行い、5日間の実習が終わる頃には少し寂しくなるような密度の濃い時間だったと思います。ともに働くということについて多くのことを学ばせてもらい、採用後のチームづくりを具体的に考えることができました。 
コミュニケーションや対応に困った時に、すぐに質問できたことは障害特性や雇用管理を学ぶ上で非常に役に立ちました。一般論ではなく、その場でリアルに聞けるわけですから。 

清掃チームの活躍や成長が、スタッフの気持ちを動かし、
予想を超えるムーブメントを起こしていると感じます。

今回の採用、その後の成果についてお聞かせください。

お手伝いいただいて3人のチャレンジメンバーを採用しました。当時は、感染防止の消毒作業、バックヤードのトイレ清掃、朝の庭園清掃が中心でしたが、徐々に職域を広げています。働きぶりをみて、各部署から「手伝ってほしい」と声がかかるようになったのです。庭園の樹木の剪定、宴席で使われる大量の食器洗浄、離れた場所にある倉庫を行き来する車に同乗しての機材搬入・搬出など活躍の場が広がっています。作業の生産性が上がり、接客スキルを磨いてきたことで、お客様のいらっしゃるフロアやバンケットルームの清掃も担当できるようになりました。

当社では、年1回、「スタンドアップサミット」というイベントをやっています。各事業部がブースを構え、部ごとの目標や内容をプレゼンする企画で、警備・衛生チーム(イベント開催当時)からは障害者メンバーが10分間のプレゼンテーションを担当しました。誇りをもって清掃を行っている様子が伝わってくる素晴らしいプレゼンに、多くのスタッフが聞き入り、人だかりができていました。

その後の社内投票で警備・衛生チームが優勝し、社長からの表彰を受けたことは私たちにとっても大変うれしいことでした。 
営業チームはじめ、どの部門もここで優勝することを目指しているのですが、「きれいに清掃してくれたおかげでお客様に堂々と紹介できる」と営業チームも認める受賞となりました。 

その後も障害者の採用を増やしていらっしゃるそうですね。

FVPさんに手伝ってもらって採用したメンバーが職場に定着し、自信をもって仕事に取り組んでいることが会社全体に評価されたことで、次の採用も進めることになりました。教えていただいた手順と方法で採用活動を行い、新たなメンバーを迎えることができました。支援機関への声掛け、対応にも自信が持てるようになりました。 
今は、障害のある先輩スタッフが、指導係として新しいメンバーと一緒に仕事をしています。 

障害者採用が新しい組織づくりに貢献していると考えてよろしいでしょうか。

手応えを感じています。もともと、インクルージョンの考え方が根づいている会社だと思いますが、さらに、お互いの違いを尊重しながら同じ目標に向かって一人一人が力を発揮しようと努力する集団になったと感じます。 

ほほえましいエピソードとして聞いていただきたいのですが・・。当社のシンボルでもある庭園の日常的な清掃は、すべての事業部から人を出してやる慣習になっています。ただ、忙しい時など、誰も参加しない部署があったりして、「今は仕方ないよね」と忖度する向きもあったのですが、ある障害者メンバーが、ルールは守るものだという意識で、「出てこなかった部署をみんなに報告する」ことを率先して行ってくれた結果、今は、忙しくても全事業部参加で庭園の掃除ができるようになりました。大切にしたい全社的な取組みが彼のおかげで徹底できたということです。 

SDGSのお取組みを世界に発信していらっしゃいますね。

多様性の価値が今ほど話題になる以前から、弊社では同性カップルの婚礼をお手伝いするなど、特に違和感なく取り組んできました。 
「TEAM HAPPO-EN SUSTAINABLE ACTION」として、さまざまな社会貢献活動にも取り組んでいます。食文化、エコロジー、伝統文化など、未来にとって良いと思うテーマであれば、積極的にチャレンジし、発信していこうというプロジェクトです。サステナブルな農業という視点で、自然栽培や農福連携を応援する企画も行っており、多くの皆様から賛同をいただきました。障害者雇用と並行してこれからも取り組んでいきたいと考えています。 

会社全体の後方支援担当チームとして、さらに活躍の場を広げたい。
そのことが、スタッフにもお客様にも良い影響をもたらすと信じています。

今後の展望についてお聞かせいただけますでしょうか。

まずは、今いる障害者メンバーにできるだけ長く働いてもらえるよう、心身の安定と仕事の充実を図っていきたいと思っています。コロナが落ち着き、宴席が戻ってきたことで、お客様と接する場面が格段に増えました。ここまでに培ったホスピタリティマインドで対応しながら、活躍の場を広げてほしいと思っています。一人で「こんにちは」というのは難しい方も、チームで「こんにちは」を繰り返せばそのうち普通に言えるようになる。そんなチーム力が発揮できる場を作れる職場でありたいと思います。 
 さらに職域を広げることも積極的に進めます。今期から、組織体制が変更となり、警備・衛生チームは、「プロデュース事業部 事業推進室」内に統合されました。各事業部から「手伝って」の声をさらに集めて、会社全体の事業を後方支援する部署として貢献したいと思います。 

清掃チームをつくると決めたとき、ご紹介いただいてホテルの客室清掃を行っている企業を見学させていただきました。障害のある人がチームを構成して、会社にも社会にも貢献する仕事をしている仕組みが作れるということに衝撃を受けました。人を活かす組織の在り方を深く考える機会にもなりました。  
障害のある方の特性を知り、環境を整えれば十分に活躍してもらえることを学んだこれからは、より積極的にインクルーシブなチームづくりができると思います。そのことが、障害者に限らずすべてのスタッフに対して、またお客様に対しても良い影響をもたらすことは間違いありませんので、自信をもって取り組みたいと思います。  

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  • 障がい者雇用コンサルティングサービスブック

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    障害者雇用は「採用したら終わり」ではありません。    
    採用した人材が定着 し、組織の中で活躍し戦力化する。    
    ひいては、障害者雇用をきっかけとした企業価値向上を目指し、    
    1000社以上をご支援してきたFVPのサービス内容を詳しく紹介しています。